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アキラ×拓海 3-5
そしてそのまま何度も啄むようなキスを繰り返し、最後に下唇を優しく食んでくる。
「ははっ、まさか嫌われてるとは思わなかったな」
冗談めかしているが、少しだけ寂しそうな顔。そんな顔されたらもう何も言えないじゃないか。
拓海は小さく溜息をつくと、腕を伸ばしてアキラの首に抱き付いた。
「うそ。本当は大好き……。好きで、好きでしょうがないよ……」
自分で言っておいて何だが、凄く恥ずかしくって死にそうになる。でも、アキラが嬉しそうに笑ってくれたから、まあいいか。
「ふはっ、知ってる」
「だったら聞くなよ馬――っ」
再び口を塞がれてしまい、反論しようとした言葉ごと飲み込まれていく。
口内を蹂躙するような激しい口付け。呼吸さえも奪われるような荒々しい口づけに舌を絡め取られ、強く吸われると身体の奥がじんっと熱くなってきて、もどかしくて腰が揺れた。
「はぁ、幸せだな……」
アキラはうっとりと呟くと、拓海の身体に覆いかぶさったまま首筋や鎖骨の辺りに鼻先を押し付けて匂いを嗅いで来る。まるでマーキングされているようで、拓海はなんだかくすぐったい気分になった。
「ん……っちょっと、アキラ……擽ったいって。それに、重いし」
「……」
「って、アキラ?」
身体を揺すってみるが、一向に退く気配が無い。むしろ、ますます体重を掛けてきて互いの心臓の音が混ざり合い溶け合う。
そのまま暫く無言の時間が続き、やがて規則正しい寝息が聞こえてきた。
身体にかかる重みが増した気がするが、それでも退こうとしないところを見ると余程眠かったのだろうか。
「~~ッ、たく……期待させるだけ期待させといて寝るとか……ねぇよ。ばか……酔っぱらいっ」
溜息を吐きながらそっと、綺麗な黒髪を撫でる。サラリとした手触りが心地よくて、思わず頬が緩んだ。
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