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アキラ×拓海 4日目 夜

あと、一時間で日付が変わる。薄暗い部屋で拓海は一人スマホを睨み付けながらソファに座り、何度も時計を確認していた。 『ようやく終わった。今から帰る』 アキラからのメッセージが届いたのは三十分程前。それからずっとそわそわしてしまっている。 最近はアキラの帰りが遅くなることが多い。教師と言うものはそんなに遅くまで残って仕事をしなければいけないのだろうか? それとも、また飲み会? そう言えば、残業や飲みに行くことが急激に増えた時は浮気を疑えと昼のワイドショーで言っていたような気がする。 こんなに不安になるくらいなら、自分も和樹のように教師を目指せばよかっただろうか? いやいや、勉強は嫌いだし、和樹みたいにキョミュお化けじゃない。それにいくらアキラが好きでも高校生らの相手を毎日するなんて、自分には到底無理だ。 そもそも、ずっと一緒に居たいって理由だけで教師を目指そうって思えた和樹が凄すぎるのだ。 増田と一緒になる為に教師になりたい。対等な男になりたいと和樹から高校時代告げられた時は正気なのだろうか? と思ったが、話を聞く限りでは和樹は生徒達にも人気があるらしいし、毎日楽しそうに増田といちゃついているという話をアキラから聞かされる度に、和樹にとって教師と言う職業は天職だったのだろうなとも思う。  ――正直ちょっとだけ羨ましい。  雪哉もプロにはならない。と言っていたくせに結局、大学でのバスケの活躍を経て、橘がいる実業団への入団を決めてしまったし。 SNSで見る限り、凄い活躍で今一番の注目株だと目を付けられていて、橘と共に写真に収まっているのをよく見かける。 アキラは一生働かなくていいと言ってくれたけど、家で家事をしながらずっと待っているだけの生活は、少し退屈で息苦しいと思う。勿論アキラの傍にいる事は幸せな事なのだけれど。 でも……やっぱり寂しいと思ってしまうのは自分の我ままなんだろうか。 一度だけ、自分も何か仕事に就きたいと言ってみたが、アキラはあまりいい顔をしなかった。 アキラ曰く、『ハルは可愛すぎるから変な虫が付かないか心配だから』だそうだが、自分だって一応きちんとした成人男子だ。そこまで過保護にしなくても大丈夫なのに……。

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