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アキラ×拓海 4日目 夜 4
だから、拓海はいつも素直になれなくてつい憎まれ口を叩いてしまうのだが、アキラは気にする様子もなく寧ろそんな拓海を楽しんでいる節がある。
今だってそうだ。本当はアキラだって我慢の限界だろうに……。
「……したかったんじゃないのかよ」
「したいに決まってるだろ。今すぐここで押し倒してやりたいくらいだ。ほら見ろ。もうギンギンだぞ? ……でも、ハルが悩んでるんなら、そっちを解決する方が先だ」
「……ッ、何それ……。いい事言ってんのに、恥ずかしいヤツ」
わざとらしく見せ付けてくるアキラの下半身は、確かにスウェットを押し上げて苦しそうにしていて、拓海は思わずゴクリと唾を飲み込んだ。
「まぁ、問題が解決した暁にはたっぷりとハルを堪能させてもらうけどな」
「……っ、恥ずかしい事言うなってば、バカ……っ」
意地悪く笑うアキラは、凄くダサい筈なのに、やっぱりムカつく程イケメンで、カッコいいと思えてしまうから困る。
悔しいけど、惚れた弱みと言うやつだ。
クッションに顔を埋めて、隙間からそっと見上げれば、苦笑しながらクシャっと頭を撫でられて、拓海は思わず眉をしかめた。
「で? 何をそんなに唸るほど悩んでたんだ?」
顔を覗き込まれて、言葉に詰まる。
アキラが自分を大切にしてくれている事は痛いほど伝わってくる。
だからこそ、わがままを言ったらいけない気がして、思いを口にしようとしても、ついためらってしまう。
「どんな小さな事でもいいから、言って? ハルが悩んでる事、気になってる事……俺も知りたい」
背中をゆっくりと撫でながら、いつに無く真剣な表情と声色で促され、拓海は躊躇いがちに口を開いた。
「本当に大したことじゃ無いんだけど……」
「うん、何?」
「……そのっ、……俺も何か仕事がしたいなぁって思って」
「仕事? 何か欲しい物でも出来たのか? 毎月の小遣いじゃ足りない?」
「ち、違う! 小遣いは、小遣いなんて呼べないレベルの金額貰ってるし、申し訳ないくらいだよ。それに加えて生活費まで貰っちゃってるし……。その辺は全然足りてるから安心しろって」
「じゃぁ、どうして?」
不思議そうに首を傾げるアキラを見ていると、何だか申し訳ないようなそんな気分にさせられる。
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