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瀬名×理人 3日目夜
落ち着け、冷静になれ。さっきはオフィスでうっかり襲ってしまいそうになったが、ここは我慢だ。堪えろ。
何度も何度も自分にそう言って、気を紛らわせる為にウィスキーを煽る。
「あらあら、随分とハイペースだけど大丈夫なの?」
「あ? ……問題ねぇよ」
あのまま、家に帰っても悶々とするだけだと判断し、悪友でもあるナオミの店へと足を運んだ。
「それで? まだ続けてるの?アレ」
「……」
「あらやだ、もうギブしちゃったの!? まぁ、理人が我慢なんて出来るわけないか」
「……ごちゃごちゃウルセェよケンジ! それに、ギブなんてしてねぇ」
「はいはい。そうよねー。理人だものねぇ……って! え!? もしかして現在進行形なの!? はっはーん、なるほどねぇ。エッチできなくて欲求不満なのねぇ。だから、今日はそんなに……うふふ、相変わらず理人ってば可愛いんだからっ」
野太いキンキン声を上げながらにんまりと口角を上げて笑うナオミに、理人はチッと盛大な舌打ちを漏らした。
「うるせぇぞケンジ」
「も~、その名前で呼ばないでって何度も言ってるじゃないの!!」
ギャーギャー喚く声を聞き流しながらグラスを傾ける。
「相変わらず仲いいですよね。二人とも」
「……っ」
トイレから戻ってきた瀬名がにこにこと笑いながら二人を交互に見比べる。
「別に、仲いいわけじゃねぇよ。こんなオカマ……」
「とか何とか言って、何かあると直ぐに此処に来たがるくせに」
「あらぁ、そうなの? も~、理人ってばやっぱかわいいとこあるのよねぇ」
「うっせ! 勝手な妄想で話を進めんな馬鹿」
ニヤつく瀬名を小突き、理人はフンと鼻を鳴らしてグラスに残った酒を煽る。
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