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後日談 4

家に戻る為、タクシーを捕まえようと店の前でスマホを弄っていると、大通りの方角から一人の男が電話をしながらこちらに向かって歩いて来た。 180cm後半はありそうな長身に、適度に厚みのある身体、小作りの整った顔はモデルか俳優のような雰囲気がある。 夜目に慣れ、相手との距離が近付くにつれて、その男の顔に見覚えがあることに気付いた。 「……理人さん、あれ……」 瀬名にツンと肘で小突かれて疑惑が確信に変わる。まさかとは思ったが、間違いない。 「……蓮……」 シンプルな白いシャツに黒色のパンツを合わせただけのラフな格好をした男が名を呼ばれて顔を上げ、スマホを耳に押し当てたまま、目を丸くして固まった。 「な、なん……え? ……」 向こうもまさかこんな所で会うとは思っていなかったのか、驚きすぎて言葉にならないようだった。 驚いたのと気まずいのとで、理人は次の言葉が出て来ずに暫く彼を凝視する。 「久しぶりだな、理人。まさか、こんな所で会うなんて……」 「…………」 蓮はスマホを耳から離し通話を切ると、何処か懐かしいものでも見るように目を細め、チラリと警戒心むき出しの瀬名に視線を移して苦笑する。 無理も無い。瀬名からしてみれば、蓮は自分の恋人を狙っている厄災以外の何物でもないのだ。 その件に関してはいくら決着が着いているとはいえ、そう簡単に受け入れられるものではないのだろう。 「本当久しぶりですね。なんで貴方がここに?」 刺々しい言葉を投げかける瀬名の声に苦笑して、蓮が困ったように眉を寄せた。

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