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第5話
「ふふ、母上」
「なあに、エリオ」
一国の王が泊まると言うことで屋敷が少し慌ただしくなったが、屋敷の使用人も騎士も元々は陛下に支えていた優秀な者達
素早く屋敷は整えられ今は三人で食卓を囲んでいる
陛下と共に食事を摂るなんて緊張で味がしないのでは、と震えていたが隣で嬉しそうに笑うエリオの顔を見たら気にならなくなった
エリオはニコニコ笑って食べ進め、意味もなく僕の名前を呼ぶ
食べさせて、と甘えてくる
初めは行儀が悪いといつ叱られるか怯えていたが、意外にも陛下は黙って食事を進めている
許されるなら、と息子の可愛い我儘を存分に許してやった
一緒に風呂に入りたい、同じベッドで眠りたいと言うエリオの願いは陛下から許可が下りず
エリオは珍しく癇癪を起こして泣き喚いた
あんなにご機嫌だったのに、と可哀想になった僕が必死にお願いしたらエリオが寝付くまでの添い寝は許された
目を真っ赤にして僕にしがみついて横になるエリオ
まだ母上と遊びたいと寝るのを渋っていたが、泣き疲れていたようで僕の拙い寝かしつけでもあっという間に寝付いた
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