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第17話

「何故、怒られると?」 「…エリオは、産まれてすぐ離されました。会えるようになったのも、二歳になってからです。会えても月に一度。陛下はエリオと僕を合わせたくないのでしょう。僕が身分も教養もないから」 「違う」 「え、」 「エリオは嫌がるお前に無理やり孕ませた。あの子は私によく似てる。嫌いな男とその子どもの顔など見たくないのだと思った」 「そんな、」 「私の早とちりだな。…そうか、お前は子どもを愛していたのか。それなのに私はお前からあの子を遠ざけた。お前に、辛い思いをさせていたのか」 「あ、ああ」 しみじみとそう言葉にする陛下に、僕の目からはボロボロと涙が溢れた 陛下は僕の涙を見て痛そうに顔を歪めると、恐る恐る僕を抱きしめる 陛下の胸の中で赤児のように泣き喚き その間、陛下はずっと僕の背を優しく撫で続けてくれた 「…ん、」 「起きたか。ティト、これを飲め。頭痛を和らげてくれる」 目を開けるとまだ陛下の胸の中にいた 書物を読む陛下の膝の上に抱かれ、もう片方の手は変わらず背を撫でている 降りなくては、とは思ったが何故か動く気がしなくて 陛下に渡された薬を飲んで、何となく拒まれない気がしてもう一度陛下の胸に身を寄せた 陛下は一度身を固くしたが、覗き込む様に顔を寄せてくる 緊張した様に顔を近づける陛下 静かに目を閉じると、唇に優しい温もりを感じた 僕がもう一度眠りにつくまで、陛下は何度も口づけをくれた

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