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第20話

「っぐ、げえっ」 「ティト様!」 あれからエリオは勉強が終わり次第、屋敷に遊びにくる様になり夕暮れまでテオと遊んでは惜しむように帰る日々を送っている テオはあの日やはり夜中に母を恋しく思った様で 次の日の朝早く送られて帰ってきたテオの目は真っ赤に腫れていて、その日は一日僕の側を離れなかった それでもやはりエリオのことが大好きなテオ 今でも時々エリオに着いて後宮に泊まることがある そしてそんな日は必ず、屋敷に陛下が泊まりにくるようになった そんな新たな習慣が出来てから一月ほど経った頃 僕は三人目の妊娠にして初めて、悪阻というものを味わっている 食べると気持ち悪くなり嘔吐してしまうため、食事を摂ることが難しくなり 栄養が足りなくなった体で無理してテオと遊んだことでついに倒れてしまった 「テオはこちらで引き取る」 「そんな!」 屋敷に訪れた陛下に言われたのはそんな時だった 「テオは三歳まで育ててよいと、」 「ああ、約束した」 「では何故、引き取ると」 「今の状態でテオを育てられると?」 「っ、」 陛下の言葉に口を閉ざす 確かに最近テオの要求通り遊ぶことも難しくなった 食事が摂れない体では自身の日常生活ですらままならないのだ 「ティトの悪阻が落ち着くまではテオは後宮で預かり、落ち着けば戻す」 「ですが、それではテオが振り回されてしまいます」 「テオはここに残したいと」 「はい」 「なら最後の手段だ。三日に一度、私の精をお前に注ぐ」 「え、」 「リルの実は精を母体の滋養とすることができる。テオを後宮に預けるか、精を受けるかのどちらかだ。選べ」

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