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第27話
赤ん坊が産まれて赤ん坊との生活にも慣れてきた頃、考えるのはエリオとテオのことだった
エリオもテオも離れてから一度誕生日を迎えたはずだ
側で祝ってやりたかった
盗賊に襲われ、目の前で母を攫われ、胸に深い心の傷を負ったであろうテオを慰めてやりたかった
けれどもう一度会えるかどうかもわからない
このまま離れ離れになってしまうかもしれない
どうしようもない喪失感に僕は赤ん坊を抱いて夜な夜な涙を流して過ごした
「ティト!迎えがくるぞ!」
ルキーノが嬉しそうに報告してきたのは赤ん坊が産まれて三月が経った頃だった
嬉しそうに笑うルキーノにいまいち反応することができない
迎えとは、いったい
「皇帝が来るんだよ!お前らを迎えに!」
ルキーノの言葉が信じられない
陛下が僕を迎えに来る
何故?
ああ、そうか皇子を迎えに来たのだ
この子まで盗られてしまう
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