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第35話

「…」 「全ては私が欲望のまま動いたからだ。お前は私に見染められたばかりに、子を孕まされて命を狙われた。周りの人間に手放してやれ、と何度も言われた。諦めろと頬を張られたこともある。それでも、お前だけは手放すことは出来なかった」 懺悔する様に僕に縋りつき、抱きしめる陛下を抱き返すことはできなかった 理解が追いつかず体が動かなかったから 陛下は何と言っていた 今の話をまとめると陛下は僕を、 「…陛下は、僕のことを」 「…愛している」 その瞬間僕の手は陛下の頬を張っていた 初めて人を叩いた手はじんじんと痛んだがそれどころではなかった 「っ、どうしてそれを先に言ってくださらないのですか!陛下はいつも、いつも言葉足らずです!陛下が愛していると伝えてくれたら、そうしたら、」 陛下は赤く染まった自身の頬など気にした様子も見せず、陛下を叩いた僕の手を労る様に撫でる ぼろぼろと涙をこぼす僕の頬を撫で、言った

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