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『命名』
「なあ、赤ん坊の名前どうすんだ?いつまでもチビだのマメだのあだ名で呼んでいられないだろ」
赤ん坊に乳をあげる僕を見て、ルキーノが少しばかり言いづらそうに口にした
赤ん坊が産まれて一月
未だに赤ん坊の名は決まってない
名付けを渋り、腹の中にいる時から使っていたあだ名を引き続き使っているのは僕の我儘だ
エリオもティオも陛下が名付けてくれた
この子が産まれた時も陛下が名付けてくれるのだと当たり前に思っていた
だから今まで引き伸ばしていたが、そろそろ限界が来たようだ
心のどこかで期待をしていたのかもしれない
赤ん坊が産まれたら彼らにまた会えるのではないかと
陛下がこの子にも名前を付けれくれるのではないかと
けれど今も僕は赤ん坊と二人きり
「お前だけは、離れていかないでね。マッテオ」
その日僕は――神からの贈り物 ――だけは二度と手放してはなるものかと、神に誓って眠りについたのだ
それは彼らと再会する、二月前の話だった
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