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『衝動』

「あれは、彼はどこの者だ」 それは男が産まれて初めて感じた衝動だった 前皇帝と皇后の間に産まれた男は、幼い頃から帝王学を学びそれなりに厳しく育てられた 友人が遊びに明け暮れている姿に羨ましく思うこともあったが、仕方がないと諦めた 友人が自由に恋愛をしているのを見て憧れを抱いたこともあったが、どうしようもないことだと自分を説得した 国民に慕われる父の姿を見て、父のようになりたいと思った幼き頃から男は周りに求められるままに生きてきた それが自分にとって最善であり、国民のためだと思っていたから けれどあの日一人の踊り子が舞う姿に魅了された男はいつものように諦めることができず、求めてしまった それは独りよがりで、踊り子の自由を奪うと分かっていたのに 「お初にお目にかかります。ティトと申します。先程の踊りを見初めて頂いたとお聞きしました。有り難き幸せにございます」 召し上げられた踊り子は先程の衣装も化粧も施しておらず少しばかり幼い印象を受けたが、侍女に磨かれたようで艶やかな雰囲気を醸し出していた その年若い見目の通り経験がないのか、寝台に押し倒すとまろい頬を赤く染めて生娘のように恥ずかしがった けれど呼ばれた理由は理解しているようで男を拒むことはしない 「ひっ、へ、陛下、乱暴は、」 踊り子の表情に煽られた男が性急に服を脱がせると怯えを見せる踊り子 もしや初物か、と尻の合わせに手を伸ばす 男の指が触れた踊り子の菊座はキツく締まり、男の侵入を拒んだ

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