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第11話
「緊張してる?」
「……かなり」
「…不安そうな顔してる」
弘は目を細め、フッと息を吐きながら微笑み、
諭すように話し始めた。
「このままずっとおしゃべりをしていたいけど、先にやることやっちゃおうか。折角の時間だし。
話は、後でお風呂入りながらゆっくり話そう。
22時から次の人入ってるけど、それまで1時間、時間空いてるから」
予約は20時から21時に入れている。
弘の次の予約は、22時に入っているようだ。
21時から22時までを一緒に過ごすとなると、
1時間延長することになる。
延長は、別途料金が発生する。
「その分の料金はいいよ。俺が持つから」
心を読まれたかのように、弘が口を開いた。
「…大丈夫なんですか?そんなこと…して」
「内緒。店には、言わなきゃバレないから」
不思議だった。
どうして初対面の、それも高いホテルを選んだわけでもない客に、ここまでしてくれるのか。
この部屋に入った時から思っていた。
存在感を主張しないこの男の雰囲気に、
どうも違和感を感じる。
「どうして、そこまでしてくれるんですか。
見ず知らずの…客なのに」
「俺を、選んでくれたからね」
ホストめ。いや違う、男娼か。
客の喜ばせ方を、よく知ってる。
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