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第15話

押し倒された身体の両脇に膝をついて、弘が覆いかぶさってきた。 「してほしいことがあったら、言ってね」 「…これから何をするのか、思考を巡らせているところです」 「あ、そっか。そこからか」 弘は静かに笑いながら、左耳の下に唇を落としてきた。 人に乗っかられるのは、こんなに圧迫感を感じるものなのか。 今なら"される側"の気持ちが、少し分かるような気がした。 下になるというのは、どこか支配されているようで、無条件に降伏しなければならないような不自由さを感じる。 「…とりあえず、入るのかどうかが、心配です」 「入る入る」 「本当ですか…」 「君が、俺を信用してくれたらね」 こいつ。 「人間の体に、固いところなんてないでしょう。どこも弾力があって、柔らかい。 力を抜いていれば、入るよ」 確かに、緊張すればそれだけで身体が固くなる。 「まずは体の力を抜いて、俺に委ねてくれるのが一番かな」 それが一番、難しいんだ。

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