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第16話

「…明かり…消しても良いですか」 「もちろん。ヘッドライトだけにしようか」 弘は、枕元にある摘みを指で捻り、手際良く部屋の照明を落とした。 どこを見ていれば良いのか分からなくて、ただただ天井を仰ぎ見るしかなかった。 頭で考えてしまう癖のおかげで、この微妙な「間」に耐えられない。 沈黙がじれったい。 手汗がまだ、止まらない。 「話しながらでも良いよ。その方が、安心するなら」 「…すいません」 かゆい所に手が届くというか、 気にしている事を口にしなくても、汲み取ってくれる。 接客業のなせる業なのかは知らないが、それでも少しは、不安が解消された。 弘の唇が、鎖骨から胸元へと移動していく。 くすぐった過ぎて、身体に力を込めてしまう。 「大丈夫?」 「くすぐったくて…」 「くすぐったいの、だめ?」 「くすぐられるのは…苦手です」 そう言った途端、弘が脇腹を指の腹で軽く触れてきた。 思わず上半身を、跳ね上げる。

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