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第23話

「…み…耳…」 「…耳、いや…?」 聞いておきながら、執拗に耳を責め立ててくる。 すぐ近くで混ざり合う音と感触に、生々しさを覚え、たじろいでしまう。 弘の手に収められたものは次第に熱を帯び始め、 とくとくと脈を打ち始めた。 それに応えるように、弘の長い親指が下から上へと押し上げられていく。 与えられる刺激に、大きく息を吐いた。 「耳…結構、好きかもしれないね」 弘は少し嬉しそうに、呟いた。 喉の奥から絞り出すような低い声が、耳の奥で響き渡る。 情けなくも、涙が出てきた。 目尻から耳元に流れ落ちる雫を感じ取ったのか、ようやく弘が口を離した。 「ごめん…泣かないで」 「…泣いてないです」 「泣いてる泣いてる」 涙出てるよ、と言いながら、右手の人差し指の背で目尻に溜まる雫をすくい取られた。 それでもまだ、弘は握った俺のものに指を絡め続けている。 力を込められる度に、腰がびくりと浮いてしまう。 無力で無抵抗な自分を晒す恐ろしさと、 快楽に身体を熱くさせている自分を晒す恥ずかしさに、思考が掻き乱されていく。

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