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第25話

一旦の緊張を手放すと、大量の涙と汗が同時に吹き出した。 ヘッドライトに照らされた仄暗い天井が、視界に入ってくる。 胸で呼吸を整えていると、弘が静かに顔を寄せ、目尻に溜まる涙に唇を当てられた。 理性と感情が、慌ただしく入れ替わる。 どちらに手を伸ばせば良いのか悩む間もなく、 先ほどまで真を握っていた弘の手がそのまま後ろに回され、一気に押し入ってきた。 「ちょ…待っ…」 「今ちょうど良い具合に力抜けてたところだったから。そのまま、ね」 指を一度に二本入れられ、下腹部に力が入る。 思わず上半身を起こして、弘の首にしがみ付いてしまった。 弘の長い右腕が、背中に回される。 「息吐いて。深呼吸して、深呼吸」 背中を軽く叩かれながら、諭されるように囁かれた。 息を吐こうにも力み過ぎて、思うようにいかない。 下半身に響く味わったことのない違和感に両膝は大きく曲がり、 弘の胴体を挟み込もうとする。 「…どんな感じ?」 「…へん…な…」 「変な感じがする?」 返事なのか抵抗なのか、分からないような首の振り方で答えた。 すぐに慣れるよと言われたが、本当にそんなものなのか。

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