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第26話
「まこ。手、貸して」
恐る恐る右手を差し出すと、弘は押し込んでいた左手を引き抜き、自分の腰元へと誘った。
「…触ってて」
まこのも、と言いながら、
自分のものとまとめて手の中に納めさせた。
視線を落とすと、滑りと熱を帯びた2つのものが重なり合いながら
薄暗い部屋の中で怪しく光っているのが見える。
弘の方に視線を移すと、
左手を中に押し入れながら舌で胸を転がしているが、
時折、小さく息を吐きながら眉間に皺を寄せている。
自分も触られている時、こんな顔をしているんだろうかと想像すると、ひどく興奮した。
その様子を見つめていると、弘がこちらに気づいて
目尻を落とした。
「ごめんね、話しながらしようって言ってたのに。余裕がなくなってきた」
「…いいですよ、別に」
この状況に、少しずつ心が慣れてきた。
何となく終わりが見えて来たからかもしれない。
弘の、薄茶色の長い前髪の隙間から見える額。
その額からにじみ出る汗が、胸元にぽたりと垂れ落ちてくる。
刺激を敏感に感じ取る彼の表情を、もう少し見ていたいと思った。
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