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第27話
「もう、入れても平気かな」
「…分からないけど…あの、一回、出さなくて…良いですか」
手に握らされている弘のものは、まだ一度も達していなかった。
”そういうもの”なのかもしれないが、してもらうばかりでは悪いと思った。
「ああ…大丈夫。中で出すよ」
中で、出す?
今、”中で出す”って言わなかったか。
思わず、手を緩めた。
それに気づいた弘が顔を上げる。
「あ、違う。”中で出す”って、そういう意味じゃない。生じゃないよ。勿論」
心音が急に早くなった。
鼓膜を叩く音の騒がしさに、混乱する。
天井を仰ぎ見る俺を、
少し慌てたように弘が軽く揺すって
呼びかけてきた。
「ごめんごめん。生と、中出しは禁止なんだ。ゴムはつけるから。…まこ。…まこ?」
雰囲気に飲み込まれて、色々忘れていたことがある。
俺は入れられる方だし、出される方で。
要は、”受け入れる方”、だった。
今更ながら、そうなることに対する
それなりの覚悟が必要だったことを思い出す。
弘の言動に、いちいち動揺する姿を見られるのが恥ずかしい。
やっと少しは、慣れてきたと思ったのに。
弘は心配そうに、こちらの様子を伺っていた。
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