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第30話
弘が覆いかぶさってきた。
一旦は引いた身体の熱が、急速に上がり始める。
顔を窓の方に向けようとしたが、顎を掴まれ、固定されてしまった。
そのまま、唇を塞がれる。
舌を何度も絡め取られ、必死に鼻で息をした。
両手を弘の両肩に添えて軽く押すも、弘は離れようとしない。
そうしてやっと口が離されると、ベッド横にある小さなテープルに置いたローションボトルに手を伸ばし、残っていた液体をまた俺の身体に絞り掛けた。
「…っ…冷たいってば…」
「でも、嫌いじゃないでしょ」
目を細めながらローションを引き延ばす弘に、軽く溜息を吐いてみせた。
粘り気のある音と滑りのある感触に、身体が反応してしまう。
弘は余ったローションを自分のものに纏わせ、その残りを2本の指で俺の中に押し入れた。
先ほどの違和感がまた、身体に戻ってくる。
支えが欲しくなって、両方の掌で、肩の近くで波打つシーツを掴んだ。
それに気づいた弘が俺の両腕を掴み、自分の背中に回させた。
弘の背中は冷たかったが、汗でじっとりと湿っていた。
よく鍛えられた肉体は、程よく弾力がある。
すぐ近くに寄せられた弘の首筋から、またあの香水の香りがする。
甘酸っぱい香りに酔いしれていると、急に身体を斜めに押し傾けられた。
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