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第31話
「…い…れるって、言ってください…よ…」
「ごめん。でもほら…入っちゃった」
心の準備をする間もなく、弘が中に入ってきた。
もっとドラマティックな展開を想像していたのに、拍子抜けだった。
間近で覆いかぶさる体格の良い男と入ってくるものの圧迫感に、身動きが取れない。
弘の顔を見ると、目を伏せながら、細く長い息を吐いている。
ゆっくりと視線を上げる弘と視線が合った。
にっこりと、笑っている。
「いかがですか」
「…苦…しい…」
「そっか。…俺は、気持ち良いけど、ね」
ふふと、小さく笑う弘は、何だか嬉しそうだった。
とにかくこの違和感を、早く身体に馴染ませなかった。
どの辺りから違和感が快楽に変わるのか、予想できない怖さがある。
「少し動いても、大丈夫かな」
軽く首を縦に振ると、弘は上半身を起こし、自分の腰を少しだけ後ろに引いた。
弘のものが、俺の中からずるりと出ていく感覚に、背中がざわつき、思わず両手で弘の両腕を掴んだ。
「…あ…ちょっと…待っ…て…」
「痛い?」
「痛くない…けど…何か…何か…」
返事を聞く間もなく、弘が再び腰を押し進めてきた。
一度出ていったものが、またゆっくりと入り込んでくる感覚に、
下腹部の筋肉が固く張り詰めた。
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