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第35話

耳元で弘に何かを囁かれたが、分からないと、頭を大きく左右に振った。 うまく聞き取れなかった。 とにかく身体の反応が止まらない。 擦れた部分が、細かく収縮している。 次第に弘の息も早くなっていくのが聞こえる。 身体を揺すられる度に、足の指に思いきり力が入る。 弘は上半身を起こすと、右手で左膝の裏に手を入れてきた。 そのまま、左足を持ち上げられる形になる。 全身を露わにされてもそれに抵抗するだけの力は、もう残っていなかった。 先ほどよりも、少し大きく身体を揺さぶられる。 深く入り込む弘を、熱を以て、受け入れていく。 その反応と刺激に、弘が顔を歪めるのが見えた。 2、3度身体を押し進めると、抱えている左足の太ももの内側に、歯を立てた。 「…たっ…い、たい…」 「ごめん…限界かも」 抗いようのない快楽の波を互いが手放そうと、必死だった。 弘は少し乱暴な手つきで下半身を掴むと、そのまま 上半身を押し倒し、覆いかぶさってきた。 ベッドの沈む音とすぐ近くでこだまする弘の吐息、 それと遠くで聞こえる、滑りを折り重ねたような音が同時に襲いかかってくる。 刺激された部分が大きく痙攣すると、身を起こすようにして弘にしがみ付き、息を詰め、張り詰めていた緊張を手放した。

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