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出会い編 第十一話
席に戻ると、僕がいなくなったからなのか、気まずい雰囲気が漂っている
何か、話すこと…そうだ!先輩に聞きたいことがあったんだ
席に座って「先輩」と死んだ目の先輩に声をかける
「ん?何~?」
「あの、社長ってどんな人なんですか?」すっかり忘れていたけど、僕はスパイだ。まずは相手のことを知らないと
「そうだなぁ~」と迷っていると男性が口を開いた
「俺!社長秘書なんで知ってますよ!」
社長秘書!?有力な情報が手に入る!
「えぇ~すごいね!」
「ありがとうございますッス!」
こんな人が社長秘書…ということは陽キャ?いやいや、どんな偏見だよ
「何が聞きたいんすか?」
「あぁ~どんな人なのかなぁ~と」
「それ!私も聞きたい!」と先輩が言う
「そうすねぇ~めちゃくちゃ怒ると怖いです!あ、美形なんで鬼ぽくなります」
ほ、ほう?
「俺はこんなんなんで、怒られますけど、そんなに会ったことないんすよね」
「私は、一年に5回?見回りあるから、その時に会うだけだなぁ~」と先輩が言う
「そういえば、見回りの時期じゃない?確か来週だった気がする。あれ抜打ちだから怖いんだよね~」と腕を擦りながら言う
「そうなんですね」
チャンス!猶予は3ヶ月!その間に恋人関係にならなければ僕に未来はない!
「あと、どんなこと聞きたいんすか?」
「ええっと…」
なんだろう、相手を知れる質問…
普段の生活とか?かな?
「社長は普段どんなことしてるの?」
「そうすねぇ~俺は第3…下手したら第4秘書ぐらいなんですけど社長の私生活に踏み入れるのは第一秘書でもさすがに厳しいすね~」
「あ、私生活の事じゃなくてさ、会社でどんな感じ?」
「うーん…。3人分の仕事とか普通にこなします!あとは、笑顔は見たことないすね!あぁ~金もってるすね!タワマンの最上階住みで、免許は持ってたと思います!たまに、ドライブとかするらしいですよ!まぁ、一言で言うならハイスペックな超イケメンですね」
ふーん…。僕が番になりたい人と違う感じだ
前にも言った通り、僕は優しくて笑顔が素敵な人がいい。けど、これは仕事…。思い通りの人じゃなくてもイケメンってだけでいいじゃないか!
おっさんじゃないだけまだまし…
いや、まぁ…はぁ~なんかガッカリ…
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