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第46話 弾みがつく*

「あ……りっちゃん……ッ、ん、出る……出ちゃう……っ……」  あの頃と今を重ね合わせていたら、呼び名が戻っていた。  律は小さく頷き、扱いていた手に少し力を加えて、爪先でカリッと先端の窪みを引っ掻いた。  ぞくぞくして、指先まで体を震わせる。 「────……っ!」  律の手の中に白濁が散っていった。  あまりの快感に頭が真っ白になる。  目の前にチカチカと星が飛んで、ビクビクと体を跳ねさせてから、僕の体はくったりと弛緩した。  はぁはぁと浅い呼吸を繰り返し、目を開けると、律は目を細めて僕がぼんやりとしているところを見ていた。 「今度一緒に、プラネタリウムに行きましょうか」  柔らかくて甘い笑顔を向けられて、ううっとなる。  そんなやさしい顔をされると、僕を傷付けたこれまでのことを簡単に許してしまいそうになるからやめてほしい。 「さっきテレビでやってたところ? 好きな人を誘って行けばいいじゃん」 「俺は千紘と行きたいんです」  目を逸らさずに真っ直ぐに言われて、恥ずかしくなった僕の方が先に逸らしてしまう。  嬉しくてたまらないのに、僕は天の邪鬼な性格なので唇を尖らせた。 「律の奢りだったら、行ってあげてもいいけど」 「いいですよ、奢りで」 「ていうか、今言う?」  こんな、ビショビショに濡れた状態で。  律は困ったように笑った。  帰り支度をしている時、ふと雷さんが寝ている寝室のドアを見つめる。  あの人とはあんまり仲良くしないで、と律に言いたくなった気持ちを、心の奥に閉じ込めて部屋を出た。  冷たい夜風が鼻の奥に入ってツンと痛くなる。  欲望を解放したはずなのに、体はまだ火をつけられたように熱かった。  律を諦めるどころか、あんな風に強引にされたせいで、ますます好きになってしまった。  律の肌の感触と匂い、手のひらの暖かさが、しばらく心と体に残って消えなかった。  あれから何度か律の家に行って、シた。  ソファーで。  ベッドで。  脱衣所で。  された、と言う方が正しいかもしれない。 「……律……っ、あ、ぁ……っ」  1度したら弾みがついてしまったみたいで止められなかった。  今回はダイニングリビングの壁にもたれて座った律に、背後から手淫を受けていた。  膝を立ててもじもじと両足を擦り合わせていると、容赦なく足を肩幅よりも大きく開かされる。  閉じられないように固定されると、はっきりと主張している熱がどうやっても隠せない。  着ていたズボンは剥ぎ取られ、僕はニットセーターと下着1枚と靴下のみという変態チックで屈辱的な姿にさせられた。  背徳感も相まって、恥ずかしいのにゾクゾクする。  ニットの中に手を入れられ乳首をふにふにと刺激されている時、首筋に歯を立てられて、僕は悲鳴に近い嬌声を上げた。  甘いのと痛いのが同時にきて、まだ触られていないのに完全に勃ちあがった僕のものは早くも爆ぜてしまいそうになる。

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