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第13話 セフレじゃないなら何なんだよ
乗っている電車は、帰宅中の学生や社会人であふれており、息苦しさを感じるほどだ。佐野とピッタリくっついていて、佐野の吐息が頭にかかる。
「ごめん、俺汗くさいかも」
「いや、大丈夫だ。問題ない」
佐野は先ほど確かに汗だくだったが、不思議とくさくない。むしろ心地よさを感じるにおいだ。
それより、周囲の人に押されて吊り革を持てず、電車が揺れると佐野に寄りかかってしまっていることが気がかりだ。佐野は大丈夫だろうか。
「こちらこそ悪い、寄りかかってしまって。重くないか?」
「え?全然大丈夫だよ。むしろなんか、うれしいかも」
「えっ……」
佐野の言葉に照れて、自分の顔がほんのり火照るのを感じる。
「ねえ、今日何があったか教えてくれない?俺、委員長みたいに頭良くないし、言ってくれなきゃ分かんないよ」
「俺は頭が良いわけではない。ただ、勉強は努力していると自負している」
「うん、委員長が勉強頑張ってるの知ってる。俺いつも見てるから」
「なっ!」
佐野は恥ずかしげもなく、こちらがどきっとすることを言う。いつも俺を見ているなんて不可能だろうが、自然と人を喜ばせることを言えるのは、やはり陽キャの成せる業だ。
「全然見てないじゃないか。今日のことも知らないんだろう」
俺はかわいげのないことしか言えない。
「はは、そうだね。でも、いつも自然と委員長を目で追ってしまうのは本当」
佐野は本当に、気を持たせるのが上手い。ふと佐野を見上げると、目が合った。佐野とは2度ほど行為に及んでいるが、佐野の顔をこんな至近距離でしっかり見たのは初めてかもしれない。
目は思った以上に切長で、長いまつ毛が儚げでもある。鼻は主張しすぎていないが存在感があり、真顔だと作り物のように見える。だが笑うと、こちらがもったいないと思うくらいに顔をくしゃっとするのだが、それが人懐っこくて、女子が騒ぐのも分かる気がする。
じっと佐野の顔を見つめていると、佐野は不意に俺の左手に自分の手指を絡ませてきた。
「っ……おい、誰かに見られるっ…」
佐野はそのままワイシャツの中に手を入れ、俺の腕に指を這わせてくる。
「……っやめっ…」
全身の鳥肌が立ち、少し前が反応してくる。佐野が手首に触れたとき、やはり以前の行為を思い出してしまい、屹立が主張してくるのを感じる。
「触っただけで反応するなんて、委員長はやっぱり変態だなあ」
佐野に耳元で囁かれ、血液が一気に屹立に集まる。
佐野はそのまま俺のスラックスに手を這わせ、前の膨らみを撫でる。
「ひゃっ…ダメだ…こんな、ところでっ…」
「しーっ、声我慢して」
佐野は囁くと、そのままスラックスのファスナーを下ろし、パンツ越しの屹立をより強く摩ってくる。
「んっ……」
声が漏れないように、両手で必死に口を押さえる。
「もうパンツに染みができてる。このまま続けたらどうなるかな」
このまま続けたら……やばい。我慢してる分、盛大に欲望が噴出しそうだ。佐野の手を止めればそれで終わるのに、終わらせて欲しくない気持ちが俺の手を止める。
車内でアナウンスが流れ始めた。俺の家の最寄駅に着くようだ。佐野は縮こまる俺を抱えて電車を降り、そのまま駅構内のトイレに入っていく。
2人で個室に入ると、佐野はすぐに俺の両頬に触れて顔を上げ、口づけをした。互いの唇を舐め取るように、唾液を交換するように、何度も唇がぶつかり合う。
「ごめん、今日はちょっと余裕ない」
佐野はそう言うと、俺のスラックスとパンツを同時に脱がし、後ろの窄まりに一気に指を挿入した。
「あぁっ…」
——ジュクッ、ジュクッ、ジュクッ、ジュクッ、ジュクッ、ジュクッ、ジュクッ、ジュクッ、ジュクッ
1本、2本と自身の窄まりに佐野の指が吸い込まれていく。電車で前をいじられていたからか、すでに愛液でぬれていた窄まりは、佐野に広げられるまでもなく大きく開いて、佐野の高まりを待っていた。
窄まりにきつく入っていた指が抜かれたかと思うと、それを上回る大きさの欲望が後ろから入ってきた。
「っやぁぁ…っうしろ、からも、すごい……」
初めてのバックからの挿入は、佐野の高まりが力強く奥まで入ってきて、今まで以上の気持ち良さだ。堰き止めていた俺の欲望が掻き出されていく。
「委員長の中、きつい…すごい絡みついてくるよっ」
佐野が何度も突き上げながら、窄まりの奥の快感を刺激する。その度に気持ち良さが打ち寄せて来るが、ユイの顔とかわいらしい喘ぎ声が記憶から蘇ってくる。頭から追い払おうとしても、どうしても居座っていなくならない。
「ユイ…」
「え…何?」
「ユイとも、こうして……トイレでセックスしてたんだよな」
ド変態の俺が、目の前の快感よりも過去のわだかまりを優先するとは、おかしな話だ。だが、なぜだか佐野に聞かずにはいられない。
佐野は窄まりに高まりを挿入したまま便座に腰掛け、俺を膝の上に乗せた。2人の間で挿入部が丸見えだ。ゴムを隔てて交わっている部分から、白濁の液体が垂れている。繰り返された挿入に伴い、自身の愛液が泡立って熱く熟されたようだ。
「ユイと俺がセックスするのは、嫌?」
佐野が俺を抱きしめながら、上目遣いで尋ねてくる。佐野の顔が完璧すぎて、こちらが怯みそうになる。
「嫌ではないが気がかりだ。佐野は、俺を含めて何人セフレがいるんだ?」
「ちょっと待って…なんで委員長がセフレになるの?」
「違うのか?」
「違うよ!」
佐野は頭を抱えて考え込んでいる。
「もしかして…さっき怒ってたのもユイのこと?」
「まあ、少し違うが、そうだな」
グジュッと音がして窄まりに風が通った。佐野は自身の高まりを抜き、俺の服を整え始めている。
「トイレで話すことじゃないよね。ごめん、俺のせいだ」
佐野はそう言いながら、自身の制服も整えて個室から出て行く。大型犬がしょんぼりしているような背中に見えて、場違いだが、かわいらしくて笑いそうになってしまった。
「とにかく家まで送ってく」
佐野に手を引かれ、再度帰路につく。
俺も頭が悪いのだろうか?佐野が何も話さないせいで、何を考えているのか分からない。
ただ、俺のことはセフレではないと言うなら何なのだろうか。また悩むことが増えてしまった。
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