「敏感でいじりがいがあるな。ここも感じるほうだろ？」 「ぅ、っく、ぁあ……」 　耳朶の溝をねぶられると、ぽつり、と乳首の影がワイシャツに浮き出した。その、ささやかな尖りを布越しに揉みつぶされると、電流のようにびりびりするものが全身を走り抜けた。 　妹尾は、髪を振り乱してのけ反った。その瞬間、あることに気づいて目を瞠った。 　尻たぶをかすめる紺野が硬い。弾かれたように腰を浮かせたものの、丸太に後ろ向きに跨るふうな恰好に引き戻された。 （ギブ・アンド・テイク……） 　妹尾は呟いた。薄紅色にぼやけた視界に、その言葉が傍点で強調されたように鮮やかに浮かぶ。 　同じことをやれと、もしも命じられたら断固として拒むのだろうか。それとも……ふたつ返事で応じるのか。いっそのこと無理やり股間に手を持っていってくれたら借りを作らずにすんで、対等の立場に立てるのだが。 　そして、それは怖いもの見たさだ。尻たぶを若干、後ろにずらしてスラックスの中心に近づけた。体育会系の部活男子なら、ふざけ合いがエスカレートしてしごきっこに発展することがあるかもしれない。拡大解釈すれば、それの大人版というノリで秘密を共有する仲になるのもまんざら悪くない……。 　もっとも仮に現在(いま)、そうするように強要されても、股間をまさぐり返す余裕など欠けらもない。茎は今にもはち切れそうで、管(くだ)は蜜で満タンだ。掌に爪を食い込ませて一度は持ちこたえても、次の波にさらわれそうになる。 「俺の勘だと、とっくに限界なんだが我慢してるのか、ねばるな。おっぱいを揉むとかしないとムードが出ないか？」 「おれは、べつに巨乳派なんかじゃ……んん、……ありません」 「ちんこをぱんぱんに腫らしてるのに律儀に答えるあたりが妹尾さんだな。じゃあ、目をつぶって集中しろよ。デリヘル嬢にサービスしてもらってると思えばイケるだろ」 「紺野さん級の、ごついデリヘル嬢はマニア向けにすぎます……ぃ、ひっ！」 　クルミの実を弄ぶような手つきで、ふぐりを撫でころがされた。 「昨今の風俗事情に詳しいじゃないか。さてはヘビーユーザーだな、むっつりスケベめ」 「言葉の綾です……ぁああ！」 　乳首と穂先をいっぺんにこねくり返されると、インジケータの針が振り切れる。妹尾は、ついに息も絶え絶えにせがんだ。 「トイレに行って射精(だ)してきます。手……手を離してください」 「ぬるぬるにしといてバカだな、水臭い。最後まで面倒をみてやるから遠慮するな」 　猛烈な勢いで首を横に振り、肩越しに紺野を睨んだ。お言葉に甘えて、と解き放てるものなのか、常識で考えてみればいい。