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第58話 岸谷※

「ねえ、優佑さん。やっぱり、優佑さんと高坂さんって似てると思うんだ」 「ん?」 休日の朝、掃除を終えた玖月が岸谷を探してランドリールームまで来た。 いたずらっ子のような顔で笑っている玖月を、ひょいっと抱き上げて、そのままソファまで移動する。こんな時、ジムに通っていてよかったと本当に思う。 「どこが似てるんだ。あんな頑固で自分勝手じゃないぞ?俺は」 「えーっ?わかっててワザと自分勝手に振る舞ってるんだと思ってた。あはは、違う?」 高坂酒造を買収したことで、事業の幅が広がり、また新たなプロジェクトも走り出し、海外での需要も高まっていた。仕事もプライベートも怖いくらい順調だ。 「なぁ、ひー…仕事、大丈夫か?忙しいだろ?渚ちゃんの仕事も引き受けてるんだって、知尋から聞いたぞ」 ソファに座り、膝の上に玖月を降ろす。安定の定位置だ。 「うん、そう。忙しいけど、大丈夫だよ?今、すっごく楽しいし。赤ちゃんも産まれたでしょ?だから、託児所みたいな感じで、陽子さんところの部屋を使って、僕と渚ちゃんで分担してやってる。保育園に入るまでは、そんな感じかな」 渚も無事に出産し、少しずつ仕事に復帰しているようだ。玖月の人材コーディネーターの仕事と、渚の営業の仕事をそれぞれ分担している。なので、玖月はほぼ毎日、会社に出勤するようになっていた。 陽子の家で在宅ワークをしている時は、赤ちゃんを見ながら仕事をしているようだ。 子供はみんなで育てましょうと、陽子からの提案もあり、玖月は率先して面倒を見ている。それも楽しくて仕方がないという。 「潔癖症も大丈夫そうだし、営業先のお客さんとは仲良くなるし、いいことばっかりでよかったと思うけど、俺は心配。無理してねぇかなってさ。ひーが忙しく仕事して、育児?して、楽しいっていうんならいいけどさ…休みの日くらい、ゆっくりしてればいい。家事は俺がやるし」 「大丈夫だよ。案外タフなんだよ?僕って。優佑さんだって、忙しいじゃない。会社も大きくなったんだし、また海外に出張もあるんでしょ?乙幡さんとしょっちゅう連絡してるって悠さんが言ってたよ?」 するっとTシャツの脇腹から手を入れて玖月の素肌を撫でていた。少しくすぐったそうにしている肌は、しっとりしている。 「乙幡さんからの連絡の半分は仕事じゃないから。ひーのことばっかり聞いてくるんだよ。悠さんが俺たちのSNSを待ちに待ってる感じだからってさ、いちいち『この前のコメントはどういう意味だ』とか聞いてくるんだよ。まったくさぁ…」 玖月の首筋にキスをしながら呟く。 乙幡には買収した報告を真っ先に入れた。そうかと、ホッとしたような声で言われ、追い風に乗ってるうちはどんどん乗れとアドバイスをも貰った。次の出張ではまたアメリカに行くことになる。乙幡からの紹介もあり、海外企業との契約も続いているから、その時、少しでも乙幡に会えればその報告もできるだろう。いずれにせよ、心配し、親身になってくれた乙幡には感謝している。 「ふふふ…優佑さんが僕のことを、ひーって呼ぶ時は酔っている時か、僕のことを心配している時なんだって知ってますよ。仕事が忙しくなったけど心配しないで?」 「心配っちゃぁ、心配だけど。仕事が楽しいのは俺も嬉しいよ?だけど、俺がひーって呼ぶのはそれだけじゃないんだよなぁ」 「え?じゃあ、どんな時?」 「うーん?甘えたい時?多分…無意識だけど、そうだと思う。俺、カッコ悪いな」 首筋から頬と唇にキスをする。どこにキスをしても玖月の肌に触れると、唇が吸い付くような感じで気持ちがいい。 「優佑さんでも甘えることある?本当に?そうだとしたら嬉しいなぁ。こんなにカッコよくて完璧な人が僕に甘えてくれるなんてさ。ふふふ…」 玖月からチュッと唇にキスをしてくれた。想いを伝えて、お互いの気持ちがわかってからは、とにかく玖月からもよく求めてくれるようになっている。 「そんな完璧な男じゃないよ、俺。ヤキモチも焼くし、いじけるし…他の誰かと玖月が仲良くなると本当は嫌だし、潔癖症のまま家に閉じ込めておきたいとも思っちゃう心の狭いところあるし…そんなに大人じゃないし」 「本当に?ふふ…なんか嬉しい…僕はね、どうやってあなたに甘えようかなぁって、いつも考えてるんだ」 嬉しいことを言ってくれる。はぁ、と玖月の吐息が甘くなってきたからTシャツを脱がせ、自分のTシャツも続けて脱ぎ捨てた。耳元で「ベッドに連れてって」と玖月に囁かれる。 抱き上げて急いでベッドまで連れて行く。脱ぎ捨てたTシャツはそのままソファの上に置いていく。 ベッドの上に寝かせた玖月が下から見上げてくる。見つめられただけで、下半身が反応してしまうのは相変わらずだ。 「甘えてくれよ、玖月。君の甘える姿が見たい」 「じゃあ、今日は…させて?」 「ん?」 覆い被さろうとしたら、身体を反転させられ玖月に上に乗られた。それからスウェットと一緒に下着を取られたから、岸谷のペニスがずるっと出てしまった。半勃ちだったそれを玖月が両手で握る。 「優佑さんの大きい」そう言って、玖月は舌を出しペロッとペニスの先端を舐めた。 性に対する好奇心から、玖月は色んなことをやりたがっている。以前、岸谷のペニスを口に咥えたいと言われた時は驚き、下半身はそれを聞いただけで、完全に勃起して爆発しそうだった。 「玖月…無理するなよ…はぁ、ヤバっ」 竿に舌を這わせ、下から上に舐めている。その行為を見ているうちに、腹につくくらいペニスが固くなってしまった。 玖月のフワッとした髪を撫でていた。玖月は、大きく口を開き、岸谷のペニスを咥えこんでいるのが見える。 「ああっ…玖月、あっ、」 口に含んだ後、頭を上下に動かし、ぐちゅぐちゅと音を立ててフェラチオをしている。潔癖症だったとは思えない行為だ。 「ひー…ちょっと溜まってるから…すぐ出ちゃいそう、もう離してくれ」 今週は忙しくて玖月と一緒にベッドで寝るだけだった。ひとりで処理することもなく、かといって、ムラムラと求めることもなかった。家に帰ってくると疲れて寝る日々だったから性欲は影を潜めてた。 それなのに、こんなエロいことをされるなんて!気持ちよくてすぐイッてしまいそう!だけどそれはカッコ悪い!と脳内の岸谷が葛藤している。 「優佑さんのそんな顔見るの好き…ねぇ、出して?このままイッ欲しい。ダメ?」 「…えっ…ダメって、ダメじゃないけど…あ、ちょっと待て、マジでいきそう」 主導権を取られてしまった。玖月がいつもより大胆に見せつけるように、しゃぶっている。自分の大きくなったペニスを玖月が口いっぱいに頬張って、ぐっちゅぐちゅと音を立てて上下にしゃぶられてたらすぐに射精感が高まってしまう。 「…玖月、ダメ、離して。いくから、ああっ、いく、はっ…くっ…うっ」 視覚にもだいぶエロかったのが手伝い、すぐにでも玖月の口の中に出してしまいそうになる。射精する瞬間、咄嗟にずるっと玖月の顔を引き上げたが、タイミングが上手くいかず、玖月の顔に精子がかかってしまった。 「うわっ、ごめん。ごめんな」 ベッドの近くにあったタオルを引き寄せ、玖月の顔を拭く。結構、大量に出てしまっている。精子がかかった玖月の顔がエロい…と思うほどだ。 「びっくりした…でも、嬉しい、ふふ」 してやったりというところか。今日の玖月はいつもより積極的なような気がする。 「優佑さんの…また固くなってきてる。すごい…今いったばっかりなのに」 タオルで顔を拭いてあげていたら、またトンっと仰向けに寝かされた。おお?っと思っていると、玖月が上から覆い被さってくる。そしてまた、ぺろっと岸谷のペニスを舐め始める。 「こら、もうそっちはしなくていいだろ」 「だって、また勃ってきてるよ?」 岸谷が玖月の身体を引き上げて抱き寄せる。その行動に、なんで?と首を傾げている。無意識の仕草だろうか、たまらなく可愛い。 しかし、今日は玖月主導なので調子が狂う。こっちが優位に立てるように、立て直しをしなければ。 「玖月…いいのか?そんな余裕な態度で。明日は休みだろ?また起き上がれないぞ?」 さあ…反撃開始だ。

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