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その後(婚儀諸々)
あの後、仕立て屋 へ行くと、ドレスがソルトーに掛けてあった
マーフィーさん以外の人たちは、驚いていたけれど、経緯を説明すると祝福してくれた
数刻前までキャピキャピしていた先輩たちを婚姻の儀後にあるパーティーに招待して、急ぎ王都へ
純白のドレスで約0.37マイルのレッドカーペットを歩いた
沢山の人たちに祝福されて
多分、僕は一生涯この瞬間を忘れない
その夜の公爵家寝室――
「そろそろ、名前で呼んではくれないのかい?躊躇いは、なしにして」
「えっ?」
「アル、と......弟君を思い出すということは、承知の上です。だからこそ、その寂寥感よりも大きな幸せをこれから、作っていこう」
ずっと、躊躇っていた
彼をアルと呼ぶと弟を思い出す
彼の後ろに弟を見てしまう
それが、どちらにもいけないようなことのような気がしてならなかった
でも――
貴方がいいと言ってくれるなら
「......グスッ、は、いっ......アル」
「ベイビー、君の母上はどうやら、泣き虫なようだよ」
零れ落ちる涙の粒をアルは、親指で優しく拭ってくれた
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