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第3話

只今、琴と格闘中 楽譜が独特で解読しずらい 舞や剣術、作法なんかは、身に付いていたものをより向上させるという形をとっているのだが...... 「楽器って思えば、弾いたことないんだよね......」 途方に暮れていると...... 「トア、ついて来てきて!」 「えっ?」 慌てた様子のガレさんに腕を引っ張られ、ついた先は...... 「あっ......んんっ!も、やっ!いだいっ!あっ!拡がってるっ!いだい~っ!」 「息んじゃ駄目!まだ、逃して。破水してないから!」 「あぁ~っ!もう、むりぃっ!むりっむりぃ~!おっきすぎて、でないぃ~誰か膜破ってよ!」 大きなベッドの上で暴れる青年 確か、名前は...... 「ダエル!堪えて~、もう少しよ~!ほら、子宮孔が拡がってきたから」 「いだいっ!腰、砕けちゃうっ!はぁぁっ」 パシャパシャパシャッ 「あ!破水したっ、ミア子宮孔の大きさチェック!」 「あ~......と、全開っぽい」 腕の側に1人と広げられた両脚それぞれに1人ずつと赤ちゃんを取り上げる人が天幕の中に入って、ダエルの出産に備えている 「短く2回呼吸して、最後、長く吐いてね。力強く。せーのっ」 「ひっひっふぅんんっ。いっ!でないっで、なっ!」 「そんな、直ぐ産まれる訳じゃないから。無駄な動きが多いよ。ママになるんだから、もう少し落ち着いて、ほら、せーのっ」 目の前の光景に唖然とする 「ねぇ、いつも、公開出産なの?」 「大抵ね。一応、王族ってことだから、証人が必要なんだ」 ガレさんが言うには、出産も交換条件の1つだから、その人が産んだ子だと確実に証明されなければ、いけないらしい 一応、宮殿を出た後、国の税金から補助金が出るシステムだからだそうだ 「ダエルは、使用人の人とデキてたから......尚更ね」 「思ってたんだけど......使用人の男性って大事なところ切ってないの?使い物になんないとか」 「ルカ様の厳然とした身元調査があって上がってくる人ばかりだから。宮殿に居るときは、家族が人質なんだ」 当たり前なんだろうけど......えぐいことするなぁ 「でも、最近は、僕みたいな孤児の子が多いんじゃない?」 「うん。だから、もし不正がバレたら、手足をもぎ取られて砂漠に棄てられるんだ」 「うわっ......」 想像しちゃった...... 「ふん~っ。いっ!いだいっあっ!でるっでるぅっ!」 四つん這いになっていたダエルが、猫のように腰を高く上げると、確かに少し頭のようなものが見えた それを1人が引っ張るようにつかんだ 「あぁっ!熱いっ!だめぇぇ!引っ張んないでぇっ!あぁぁっ!抜けるっ!」 ウギャーウギャーと産声があがった ダエルは、ぐったりしている すると、少し背の高い青年が天幕をかき分けてきて入ってきた 「ダエル!」 「あ......ウィル、赤ちゃん産まれたぁ」 ウイルと呼ばれた男がダエルを抱き抱えた 「寝室に連れていきます」 「後で、経過を見に行きますので」 「はい」 衝撃の事実を知って―― 「ダエルは、良いよね~」 「何がですか?」 「ウイル。結構、競争率高かったんだぁ」 隣を歩くガレさんに目を向ける 「ガレさんも狙ってたの?」 「いんや~。ただ、幸せそうで羨ましいよね」

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