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無我夢中 ★
ストッパーが完全に外れた。無我夢中だった。30手前の男がするようなセックスじゃなかった。格好つける余裕もない。ただ、誉が可愛くて。愛しくて。触れたくて。誉の全てを感じ取りたくて。誉との最初なのだから、きちんとベッドの上で、などと考えていた自分など消え去った。
誉のTシャツをめくり上げて、胸にしゃぶりつく。すでに硬く尖 っているそこを、執拗 に舌で愛撫 した。吸う度に、舌で転がす度に、誉が可愛い声を上げた。
「んっ……あっ……」
初めて聞く、誉の声。想像よりも甘く、色気のある声だった。
「もうかなり勃ってるな」
誉のジーンズ越しに、誉のモノが硬く膨らむ感触が伝わってきた。胸を弄る度に、誉が腰を浮かせ、じれったそうに千晃の腹辺りに押しつけてくる。
「だって……気持ち……いい」
「乳首、気持ちいいのか?」
顔を赤く染めて、こくこくと誉が頷 いた。そんな誉の反応が可愛くて、それからしばらくは指と舌で胸だけを攻め続けた。一方の先端を指で強く摘まむと同時に、もう一方を舌でちゅうっと吸い上げる。誉の体がぴくんと震えて跳ね上がった。
「あっ……んうっ……やっ……」
「嫌なのか?」
「嫌……じゃないけどっ……」
「けど何?」
「もっ……我慢できない……」
誉が必死に手を伸ばして、服の上から千晃のモノを包んだ。
「これ……欲しい」
「まだ我慢できるだろ?」
「できないって……あっ……千晃っ……そこ……」
誉のジーンズを素早く下ろすと、両脚をぐっと押し上げた。露わになった誉の下着の上から孔の辺りを焦らすようになぞった。直接ではない指の刺激で余計に感じたらしい。誉が、腰をくねらせて訴えてきた。
「……そんな焦らされたら、ヤバいから……」
「もっと焦らしたい」
「いや、もう……無理だって……あ……」
会話をしながらも、愛撫 の手を止めなかった。すると誉が、ああ、もうっ、と叫んで、上半身を起こしてきた。素早く千晃のスーツのベルトを外すと、手を下着の中へと忍ばせる。
「千晃のここだって大変なことになってるだろ」
ぐっと千晃のモノを掴 むと、ゆったりとした動きで上下に手を動かし始めた。途端に快感が千晃の中を巡り出す。思わず自分の手を止めて、誉の手の動きに集中する。
「言い忘れてたけど……。千晃のスーツ姿、格好いいな」
「……今日は、病院のお偉いさんと……面会が……あったからな」
「急患もあったのに、大変だったな」
「面会は……朝一……だったしな」
「千晃の……ビンビンだな」
「おい……話しながら扱かれると……集中できない」
「だろ? さっき焦らされお返し」
誉が悪戯っぽい笑顔で、ぱっと手を離した。中途半端に終わられて、酷い疼 きが千晃の中に残る。
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