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②
「…こんな感じかな。セツもやってみろよ。」
俺としては、セツが男役でダンスをリードするよりも。今みたく女役してる方がしっくりくると思うんだけど…。
あくまで男として学びたいらしい、セツに免じて。
今度は役を交代し、踊るよう促す。
「全然出来る気がしないんだけど…」
頑張るって意気込んでみせるセツは。
ひと呼吸置いた後、遠慮がちにもするりとオレの腰へと手を回してきた。
「ジーナって…い、意外とガッチリしてんのな~…」
身長は少し…ホント少しだけ。セツのが高いけど。
運動不足なセツに比べれば、そりゃあ雲泥の差だろうな。
セツは男のクセして肌は真っ白で。腰とか腕とかメッチャ細いし…。筋肉も殆ど付いてないから、どこ触ってもぷにぷにしてて柔らかいから。
顔だってどっちかってぇと、女みたいだ。
こんなこと言ったら怒るだろうけど。
こうして見ると、男だとか全然っ気にならないから…なんでだろ?
「身長だって何気に伸びてきてるし──…ってまだオレの方が高いけどね!細く見えて、やっぱりガタイは格闘家なんだよなぁ…」
独り言みたく呟き出したセツは。
一応ダンスのリズムを稚拙に取りながらも、俺の体に触れてくる。
「セツなんて、すぐ追い抜くぜ?」
「う~…否定出来ないから悔しいな~。」
今は成長途中だからな。
そのうちルーファスよりもでっかくなってさ。
剣術でもなんでも、守護騎士の誰よりも強くなって、
そしたら────
「胸板も硬いし、いいなぁ筋肉…憧れるなぁ…。」
んなコト言って、ちょっと体動かしただけで筋肉痛になっちまうクセに。
寧ろセツは、今のままで良いと思うんだけど。その方が…触り心地良いし。
わざわざ鍛えなくても、いざとなったら俺が守ってやるんだから…って、
「ちょ…」
考え耽ってたら、セツの行為がエスカレートしていき。ダンス中だってのに、無遠慮な手つきで体中をペタペタと触られる。
(オイオイ、ヤバイって…)
セツは天然っていうか…警戒心なさ過ぎるっつうか。
俺の気も知らないで…抱き付くように腕を回し、背中の方まで触ってきやがる。
「背中もお尻もムダな肉全然ないし。16でこの体とかさ、オレなんてずっともやしっ子なのに…」
ホント羨ましいな!って、拗ねるみたく言われても。耳に息が掛かってくるから、堪らない。
(心臓、アチイ…)
俺だって年頃の男なんだぞ?
ただでさえ、こんな気持ち初めてで。
わけ解んなくて持て余してるってのに。
コイツとこんなくっついて、触られなんかしたらさ…
(ダメだって、ヤバイって…)
熱い、全身がまるで沸騰するみたいに────
「セツ…!」
「わわっ…」
耐えきれず、叫んだ瞬間。
セツの足が俺の足に絡まって、互いの体がグラリと揺れる。
「チッ…」
セツを意識する余り、油断してた。
俺としたことが────…けど咄嗟にセツの体を抱き締め、反転させて。
俺はセツを庇うようにして、背中から地面へと倒れていった。
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