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③
「それは─────…面白い展開だねぇ。」
「アシュレイ殿、不謹慎ですよ。」
そこに偶然やって来たアシュレイとヴィンセント。
最年長アシュは分かり易く、こういった話題が好物なのか…なんとも楽しそうに食い付いてきて。
ヴィンセントに至っては、くだらないと言った風に溜め息を漏らした。
「あのルーファスが浮気とはねぇ…。一体どうしたら、そうなるのか…」
口元を抑え、何か意図を含んだような苦笑をするアシュレイは。あり得ないでしょと、独り言のよう呟く。
「けど、他のメイドさんと執事さんが一緒に見たって…」
しかもだ。
ルーファスとメイドさんが抱き合った後、近くの空き部屋に入ってくのを、その2人が共に目撃してるって言うのだから…疑いようもないと思うんだけど。
…と、言いながらしゅんとするオレを見かねて。
ヴィンセントが珍しく口を開く。
「あのルーファスが、ですよ?貴方だって良くご存知でしょう?」
誠実さで言えば敵う相手がいないくらい、真っ直ぐな好青年。他人に厳しいヴィンセントがここまで他人を褒めるのは、なかなか無いだろう。
それだけ、彼らの信頼は厚いのだろうし。
だからこその説得力、なんだけれど…。
「…まあ、ここで議論しても真実は求められないだろうね。」
確かにアシュレイの言うとおり。
噂は噂でしかなく…答えは単純、アイツだけが知っているのだから。
「そう…ですね。それが最善でしょうね。」
目配せするアシュレイに、気付くヴィンセントもまた。納得したよう、うんと頷く。
「だよな、正直こういう話題スッゲェ苦手だしな~。」
ジーナとロロもあっと声を上げ、ニッコリ笑顔を浮かべる。その視線は一様に、オレへと注がれていて────
「じゃあ、セツ。後は君に任せたよ?」
「頑張ってね、セツ!」
「え、ちょ…まっ、」
「お互いのためにも、疑惑は早めに払うが吉ですよ?」
「そそっ、ビシッと言ってやれよ!」
ここは全員で謎を解明する流れでしょと、目で訴えるけど。
アシュレイもヴィンセントも、他人事だと言わんばかり。年少組でさえオレの肩をぽんっと叩き、あっさりと行ってしまった。
…と、その背中を恨めしげに目で追っていたら。
擦れ違い様に向こうからやって来たアイツへと、アシュが何やら耳打ちをし始めて────
「どうした、セツ?何やら私に、話があるそうだが…」
「うう…」
お約束通り。
何も知らぬルーファスが…超爽快な笑顔と共に。
こっちへと近付いて来ちゃったじゃないか。
くっそう…してやられた…
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