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純愛《緋禄side》6

最初は咲輝といられるだけで良かった。 それだけで良かったのに、欲しくなった。 でも無理だから、偽りで構わない。 きっと、俺には期限があるからこんなに焦ってるんだろうな。 だから、ルールを決めることにした。 「ルールを決めようぜ」 「ルール?」 「あぁ。簡単なルールだよ。"泣いたらゲームオーバー"。それだけ」 「泣いたら?」 「恋人同士は泣かないもんだろ」 違うよ。 本当の理由は違う。 いつか咲輝にも分かる日が来るから。 俺がいなくなるって。 その時は泣かないで見送って欲しいから。 だから、"泣いたらゲームオーバー" 泣かないで。 悲しまないで。 お前の笑顔が好きなんだ。 「分かった。ルールは守る」 「まぁゲームだし、気楽に行こうぜ」 自己満足なゲーム。 本当に咲輝が参加してくれるなんて。 神様、ありがとう。 「さぁて、1限目はサボるか。あと30分で終わるしな」 お前の気持ちは聞かないよ。 本当の気持ちは分からないけど、 今の俺とお前は恋人同士になってるんだから、 知る必要ない。 こうして窓から差し込む光を浴びて、背中を合わせて。 背中から伝わる咲輝の温もりを感じれるだけで幸せ。 このまま時間が、止まればいいのに。 「あ…雪だ。晴れてるのに雪降るなんて珍しい」 「今朝冷え込んだからな」 「俺雪好きなんだよね。綺麗じゃん」 綺麗に舞って、体温ですぐに溶けてしまう。 雪はまるで俺みたいで。 あんなに綺麗に散れるならそうなりたいと思えるほどに。 高2の1月。 雪が舞う中で、俺と咲輝のゲームが始まった。

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