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第6話
遥人の片手は詩雨の腰に。もう片方の手は、彼の羽織っている薄手のカーディガンを、肩からするりと落とす。
黒のタンクトップ一枚の、細身の半身が現れる。
同じ男とは思えない輝くような白い肌と、綺麗に浮きでた鎖骨。タンクトップの上からぽつんぽつんと、微かに存在を感じさせる胸の頂。
詩雨のすべてをその眼に収めたい遥人は、激しいキスの間も、眼を開けたままだ。
詩雨はそのことに気づいていない。
遥人は詩雨の色っぽいタンクトップ姿もしっかり見ていた。
(むしゃぶりつきたい……)
そんなことを詩雨に気づかれれば、殴られることは間違いなし、である。
★ ★
苦しさから詩雨が口を離した。
はあ·····と、大きく呼吸をしている。ブルーグレイの瞳は、とろんと甘く蕩けるよう。
(エロい……可愛い……)
遥人は堪らない気持ちになり、ちゅっとその瞳に唇を落とし、現れた素肌を攻め始める。
鎖骨を舌で伝い、肩、それから上腕を舐めまわしていく。遥人は、腕の内側の柔らかな部分を、ちゅうっと痕がつく程吸い上げた。
詩雨は体毛も薄く、色も金色に近い。腋下も同様で触れても少しも気にならない。
その微かな痛みに、詩雨がはっとする。
「ハルっ。やめっ」
遥人から離れようと藻掻くが、力は余り出ず、なんなく押さえ込まれる。
「だめだっ遥人。こんなとこで」
「なんで? ここなら誰にも見られませんよ?」
狼の耳をつけた男が、意地悪そうな顔をして言う。
内心、ぐっときたが。
「そういう問題じゃねーよ。仕事場なんかで、できるかっ」
わざと怒ったように言い放つ。
しかし、そんなことで怯む遥人ではない。
「でも……詩雨さん」
彼は詩雨のパンツのファスナー辺りをするりと撫ぜた。
「ね……」
内緒話をするように、耳許で囁く。
「……詩雨さんも……感じてる」
「う……っ」
遥人の言う通り、詩雨のそれは、ソフトデニムパンツを軽く押し上げていた。
「だから……ここじゃあ……。だったら、上行こ?」
先程の勢いは何処に行ったのか。聞き取りづらいくらいに小さな声。しかも、それを言うのも恥ずかしいというように、顔を赤らめている。
「だめ……。俺我慢できないから」
遥人がぐいっと腰を押しつけてくる。身長差から詩雨は腹の辺りに、自分以上の熱を感じた。
「おま……っ。いつの間にっ」
詩雨はその性急さに更に顔を熱くする。
「だって、猫耳の詩雨さん、可愛すぎるから」
「おまえがつけたんじゃないかっ」
「だめ?」
耳の垂れた犬、いや、狼のように可愛く懇願され、不覚にもきゅんとしてしまう。
「だめ……」という返す言葉も、弱々しい。
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