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第8話
詩雨は上目遣いで彼の顔を見ている。
射精の後に弄られ身体は騒めくが、それでも多少余裕があった。自分の頭が真っ白な時には見ることのできない、遥人のイキ顔。
本人には絶対言えないことだが、それを見るのが好きだった。
眼を閉じ、眉間に皺を寄せ、何かに耐えているような顔。
「ん……っ」と息を詰めたかと思うと、再びどろっとした体液がふたりの手を濡らす。
(……エロい顔……)
「は……っ」とひと息つくと、遥人はゆっくりと瞼を開き、詩雨の顔を見る。
「詩雨さん、俺のイキ顔好き?」
突然爆弾投下。バレバレだったことに、内心わたわたする。
「んなことないよ」
「そ? ま、いいけど。俺も詩雨さんのイキ顔好きだし」
色気たっぷりに言われ、どくんと心臓が大きく跳ね上がった。
★ ★
遥人は、詩雨がぼうっと自分に見とれているうちに、腰を掴みくるりと反転させた。
詩雨の両手に自分の手を重ね、眼の前の棚に導く。重なり合った手がお互いの白濁でヌルついていて、妙に淫靡に感じる。
「ここ、手、ついてて」
「? ん??」
詩雨は訳が解らず遥人を振り返る。
「ここで終わる訳ないでしょ」
「?!!」
その意味を勿論すぐに感じ取った。
「え、でも、ゴムないし」
言い訳にしてはお粗末だが、詩雨のことを常に大切にしている遥人にはこれでも通じるはず。渋っても最終的には詩雨の望みを叶えてくれる。
ただ──たまに、大暴走も。そして、今は暴走する予感しかしない。
「生で詩雨さんの内に入りたい」
耳朶に唇を寄せて甘く囁く。
コトンと小さく音を立てて、眼の前の棚に何かを置いた。
「あ、ミミ」
「じゃまだから」
「オレだけ?」
論点はそこで、もう既に受け入れる気になったらしい。
「詩雨さんは、可愛いからそのままで」
「は? ──んんっ」
にっこりと笑いつつ、彼の片手はいつの間にか詩雨の手を離れ、後口に触れていた。デニムパンツは下着ごと落とされ、足許にまとわりついていた。
遥人はぬるついた人差し指を、ゆっくりと詩雨の内に入れようとした。
しかし、ふたり分の体液はほとんど流れ落ちてしまっていて、内を湿らすにはまったく足りない。
「ぃつぅっ」と詩雨が呻き、「キツイ」と遥人も顔を顰める。
何度も経験していることなのに、詩雨のそこはいつもきゅっと締まっている。しかも、今日は潤滑剤も傍にはなかった。
遥人はすぐに指を外し、そのまま詩雨の萎えた性器に触れる。
ゆっくりと快感を誘うように扱きながら、舌は背筋を這い、臀の合間を通り、太腿へ。腿の内側に幾つもキスを落とす。
それに詩雨が酔っている間に舌はきつく閉じた孔へと移った。舌先でちょろちょろと舐める。
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