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第10話

 しかし。  ゆっくり優しくが続き、詩雨は何処かじれったい気持ちになり始めた。いつまで経っても激しくならない。  セックスすることには羞恥を覚えるものの、慣れされた身体はやはり強い刺激を求めてしまう。 「遥人……?」  ついに後ろを振り返り、遥人の顔を見る。 「どうしたの?  詩雨さん?」  余裕ありげに、にっこり笑う。  そして、じゅぽっと音を立てて昂りを引き抜いた。 「え……」  茫然としている詩雨を尻目に、彼から離れ、床に胡座をかいた。  詩雨は棚から手を離し立ち尽くす。満足できなかった後口が、名残惜しげにひくついていた。 「おいで……詩雨」  恨めしげに見つめていると、遥人の手がすっとあがり、誘うように差し伸べられる。  そこで、詩雨ははっとし、白くなった顔をまた朱に染める。 (こいつ…… )  躊躇する。  それを感じ、 「だいじょうぶ、だから……こっち来て……」   と、遥人はもう一度誘いかけた。優しい声音なのに、その眼は明らかに情欲を帯びている。  詩雨はその眼には逆らえない。  吸い込まれるように歩み寄り、遥人の足を跨いで膝をついた。  そそり立った屹立が間近に見え、身体全体を熱くしながらも、内心かなり焦っている。 (わぁ〜。やべぇ)  詩雨はこの体位が酷く苦手だった。自分から遥人を咥えこんでいるようで、恥ずかしすぎる。この三年間でも数えるほどしかしたことがない。  遥人も普段は無理強いはしないが、残念ながらただ今大暴走中だ。 「もっと、こっち来て」  腰に手を回し抱き寄せると、自然と彼の屹立が臀の狭間に触れる。 「ん……」  それだけでも身悶えてしまうのに、自分から迎え入れられない。 「詩雨もそのままじゃ辛いよね。手伝うから。腰……落として」  耳許を擽る声は甘く、その言葉はあからさま。  詩雨は遥人が自身を押さえているのを確かめた後、自分の孔にそれを当てた。  眼をぎゅっと瞑って、そりゃあという気持ちで腰を下ろす。そのせいで、ぐっといきなり呑み込む形になってしまった。 「ひゃぁあんっ」  思わず甲高い、自分でも信じられないような声が飛び出す。  自分の重みで、思ったよりも深い場所まで受け入れてしまった。  さっきじれったい程優しく叩かれた場所を壁越しに押し潰しながら、直腸の奥の奥の方まで。  はぁっと、遥人も短い吐息を漏らす。何かに堪えているような酷く色気を帯びた顔。  頭が真っ白になる直前にその顔を見る。 (ん……かっこいい……)

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