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第12話
詩雨は塞がれた唇から、くぐもった呻き声を漏らす。
背筋も白い喉もぐっと反らし、屹立から勢いよく白濁を撒き散らした。自分の腹も、そして遥人の腹もしとどに濡れる。
それを感じていた、遥人も。
彼は咄嗟に唇を離し、頭を詩雨の胸に押しつける。手は腰から背中へ。ぎゅうっと掻き抱きながら、詩雨の最奥へと熱い精液を注ぎ込んだ。
その熱に、詩雨はまた身体を震わせた。
自分の胸に頭を擦りつけながら、はっはっと短い息を吐く遥人を、詩雨は愛おしげに抱きしめ返した。
★ ★
しばらく黙って抱き合って、詩雨は落ち着きを取り戻した。紅潮していた顔色も引いていく。
しかし、自分の放ったものでふたりの腹がべたついている状況や、朧気ながら先程までの自分の恥ずかしい言動を思い出し、再び朱が散った。
しかも、まだ遥人が自分の内にいる。
「ひゃぁっ」
それに気がついて、飛び上がるように引き抜いた。
「詩雨さん?」
「や、そろそろ上へ。シャワー浴びよ?」
と、照れ隠し。
絡んでいる遥人の腕を解き、立ち上がる。が、足はぶるぶると震えている。
「詩雨さん……えろっ」
「え?」
なんのことかわからない詩雨。
遥人にぶるぶるしている足を指差されて、視線を移す。 立った勢いで、自分の内に呑みきれなかった遥人の精液が、足を伝っているのが見えた。
「っっ!! ──わっ」
びっくりして倒れそうになるのを、遥人が機敏に立ち上がり抱き留めた。
「詩雨さん。ほんと、可愛い」
そのまま、横抱きにする。
「は、はるっ。おろしてっ」
可愛い女のコならともかく、どちかと言えば身長高めの男。
しかも、いつの間にか、ベルトとボタンは外れてるもののファスナーはきちんとあげている遥人と違い、自分は真っ裸。
恥ずかしすぎる状況だった。
「それじゃあ、歩けないでしょ。じっとしてて。落ちたら危ない」
抱く手に力が篭もる。
大事そうに抱え込まれて、胸にぽっと温かくなる。詩雨はもう何も言わず、身体を預けたが、顔だけは恥ずかしそうに遥人の胸に埋めた。
「このまま、一緒にシャワー浴びよ」
そのままふたりでバスルームへ。
詩雨の奥に吐き出された遥人の欲望を掻き出すという名目で、また内をぐちゃぐちゃと掻き回された。
お互いに再び熱を持ち始め、そして、第二ラウンドが始まった……。
今度はベッドの上で。
★ ★
あの時起こったあれこれを思い出し、詩雨の白い顔が朱に染まる。耳まで真っ赤だった。
ぶるぶると頭を振って、そのことを追い払う。
「詩雨さん、何をやってるんです?」
誰もいないと思っていた部屋に突然の声。
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