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萩ノ宮 23

「まぁ、やっぱり、そちらの格好の方が似合っていますね。お母様を写真でしか存じませんが、よく似ているわ。 昂一にも雰囲気がよく似ています。どちらの血も、ちゃんと受け継いでいるのね…」 「そう言ってくださると、安心します。」 昂輝は、ニッコリと微笑む。 誰に似ていようが、自分は自分、と思っているので、口だけの礼を述べる。どちらに似てると言われても、今の自分には嬉しくない言葉だった。結果的に、どちらも自分を捨てたことに変わりはないのだから。 「食後に、また、ピアノを弾いてくれないかしら?離れで直に聴きたいと思いますの。」 うっとりした表情で、そのピアノが聴きたいと言われれば嫌な気持ちにもならない。だから、ファーストレディとして、祖母のためだけにピアノを奏でると伝える。 「僕のピアノでよろしければ。」 昂輝は、跪いて、祖母の手を取り、その甲に唇を当てる。 「そういった仕草を、自然にこなしてしまうこところは、やっぱり外人さんなのね。」 クスクスと上品に祖母は笑った。

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