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chase after 2
『やってくれますねぇ…あのタヌキジジイめ……』
アルノルドが呟く。これでは取り付くしまがない。こちらの行動が筒抜けているとしか思えなかった。音楽の『お』の字も知らないようなあの爺さんにこちらの行動が読まれているように手を打たれたのは心外だった。
拉致してでも、話がしたいと思うアルノルドを、寄せ付けないように、クリスには一人になる時間は与えられていない。送迎まで敷地内までという徹底ぶりだ。そこまでして守りたい存在であるなら、何故、未だに一人暮らしを許しているのかがわからない。
唯一、一人になるであろう時間は、萩ノ宮昂三の自宅敷地内である、離れにいる時くらいだ。その敷地も厳重にセキュリティが作動していて、容易に侵入することもできない。潜入者の協力が得られない状況下にあり呼び出すことも不可能な状態だ。
コンサートで、世界中を飛び回るアルノルドにとって、日本に滞在できる時間も限られている、というのに、接触すら出来ないとは…
『アレには経営の一部を担ってもらわなくてはならない。ほかの孫とは違って優秀でね。きっとアレがいなくなればうちの学園はダメになるだろう。そういった理由で君に、はいどうぞ、と差し出すわけにはいかないんだよ。』
『それは存じております。が、僕も彼の才能は、かってるんですよ。彼と、音楽を奏でていきたいんです。彼だって本当はそれを望んでいると僕には思えますけどね。
祖父である貴方に譲りたくないほど、彼と彼の才能に惚れ込んでいるんですよ。彼を縛り付けて僕にはチャンスを与えない 。不公平だと思いませんか?あなたは海外から来て右も左も分からない人間に何をしてきましたか?完全放置だったじゃないですか?』
体内に渦を巻くように、ドロドロとした狂気に似た感情。ステージで彼を見たその瞬間から、手に入れたい、触れたい、という欲求。そして彼という存在を知りたい。
何故、血縁者だと言うだけで彼を縛り付けているのか、彼が縛られ続けているのかが理解出来ない。
容姿にも恵まれ、金銭的にも家庭的にも不自由なく育ったアルノルドにとって、これほどまでに手に入らない存在は初めてだった。あれから3年が経過した。それなりに自分が彼の隣に立っても相応しいように、らしくもない努力を重ねてきた。
もう、なりふりなど構っていられない。
『では、こうしませんか?彼が僕の話を受け入れて、手を取ってくれた時には、遠慮なく連れていきます。選択肢は、彼にお任せするのはどうでしょうか?』
それを受け入れたくせに、完全なる謁見拒否を目論んだ、萩ノ宮昂三の作戦に歯噛みをするしかなかった。
『せっかく、前乗りしたのに、これでは意味がないじゃないか!!』
アルノルドが滞在している間は、確実に彼は拘束されてしまうだろう。
あの猫のような柔らかな光に反射して銀にもオレンジにも光る金髪に、紫色の眸を間近で見たい。
触れて、その綺麗な顔を歪めて喘がせたい。
欲求は募り、段々と余裕がなくなっていく。
'RRRRRRRRR
『……アルノルド…』
楽団員の独りがアルノルドの滞在する部屋へアポイントを入れてくる。
『抱いて欲しければ、自分で準備をしておくんだな。』
相手の部屋に到着する頃には、部屋のドアは簡単に開き、閉じるとロックされる。
「……んっ………ふぅ………はぁ………」
くちゅくちゅという水音と、荒い息遣いが聞こえてくる。部屋の中へ足を進めると全裸で腰を高く上げて、自分の指を後孔に挿入し、広げた孔と、もう片方の手で淫液を掬いペニスに塗りつけてゆるゆると扱きつつも、そちらからも水音をたてて潤んだ眸でアルノルドの姿を確認する。
エメラルドのように澄んだ翠色の眸は、冷たい色で、ベッドの上で彼を待つ人物を映す。
「欲しければ、勃たせろ」
ペニスに絡ませた手を離し、アルノルドのまだ何の反応も示していないペニスに手を添えて、口に含む。美味しそうに舌を這わせる。口を窄めて懸命に扱く。
ーーーーーへたくそ
そう思いながらも、徐々に形を変えていく自身がある程度形を変えた頃、団員・・・ホルガーの口からペニスを引き抜き、数回扱いてみせるとその姿をよだれを垂らしながら、恍惚とそれを見つめていた。手早くゴムをつける。
そう。望まなくても、簡単に脚を開く男は、臭いを嗅ぎつけて寄ってくる。
指を引き抜き、ペニスで孔の周りを数回なぞってから、ゆっくりと挿入すると
「あ…………あ…………はぁ…………」
すでに出来上がっている躰は、歓喜の声を上げる。すべてを収めたら、遠慮することはない。
彼以外は、誰を抱いても感情を伴わない処理でしかない。苛立ちをぶつけるように、目の前の男を激しく揺さぶった。彼を犯してることを脳裏に浮かべながら……
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