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萩ノ宮 33

大学に進学してまもなく、聡美の様子がおかしくなっていった。 忘れ物が増え、約束を何度繰り返しても、その記憶が欠落するのだ。 さすがに、おかしいと思い、聡美の両親を説得して、病院に連れて行ってもらった。 診断結果は、『若年性アルツハイマー』 実のところは、 『クロイツフェルト ヤコブ病』 脳が急速に萎縮して、死に至らしめる病だ。 思い出を作ろうとする昂輝を嘲笑うかのように、彼女の病気の進行は早く、昂輝を思い出せない日を迎えるのは早かった。 親のことすら、誰だかわからなくなり、パニックを起こしたり、信じられないほどの力で、暴れる日もあった。 身体の筋肉も次第に使い物にならなくなり、寝たきりになるまで、半年も要さなかったのだ。 『君はまだ若いのだから、娘に囚われず、自由に生きて欲しい、と思う。』 そう言う彼女の両親の言葉を受け止めつつも、最期まで一緒に過ごしたい、と懇願した。 最期に近づくにつれ、食事の介助すら出来なくなった時には、涙すら出てきた。 告白から、1年と3ヶ月。彼女は、19年という短い生涯を閉じた。

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