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preparations 14
ホテルの部屋に入ると、先に運び込まれていた荷物の整理もそこそこに、アルノルドの濃厚すぎるキスですっかり腰砕けになってしまったクリスを抱えるようにベッドルームへ連れ込む。
半分理性を飛ばしている躰に灯をつけるのは簡単で、服の上からの刺激で十分なほど細身のデニムの前はキツくてベルトを自分で抜くことすらままならないのをアルノルドが手伝ってやり、ボタンもファスナーも下げるとフーっと息を吐き出した。障害物が減ったことに対しての開放感で吐き出した吐息だ。タイトなタイプだけに脱がすのはなかなか大変そうだ、とアルノルドは苦笑いをする。
「クリス、自分で脱げそう?」
「……ん……」
太ももまで下ろすと少しずつ足を抜いていく。これが慣れた本人だと大した力もなくスルスルと足が抜けていく。上のカットソーは緩めだったのもありバンザイをさせれば簡単に躰から離れていく。腕が完全に抜けたところでアルノルドは服を投げクリスはそのまま後ろに倒れ込んだ。
「……冷たくて気持ちいい……」
シーツが火照った躰にはちょうどいい温度だったのか、ボソッと呟いた。
「僕とシーツ、どっちが気持ちいいんだろうね?」
「……比較対象がおかしい。」
「どうおかしいの?」
胸の尖りを口に含みながら聞いてみる
「……んッ……温度が真逆……初め……はっ、指……冷たいけど……他は……全部、熱い……あ……ん、はっ……」
「……クリスも熱いよ、特に腰周りの全て。この形のいいペニスも熱くて舐めやすいし、美味しい温度だよ。
中もすごく熱い……熱くて、こっちが食べられてるみたいに絡みついて気持ちいい……クリスの中でひとつになってる時が一番安心する。僕だけのクリスがいて、クリスの為だけに僕がいる。2人で気持ちよくなってる時が幸せ」
下着の上から撫でていたペニスがかさを増してウエストのゴムとの隙間から顔を出している。そこに唇を寄せて滲んだ先走りを舐めとるとピクっと跳ねるように動く。下着に手をかけて脱がそうとすると条件反射のように腰が上がる
僅かな隙間さえあれば脱がすのは簡単だ。脱がしながらゆっくり全貌を現していく熱く上を向いたそれを口に含んでいくと、切ない声が上がる
「……はっ、あ……あぁぁ……あ……」
「……本当に美しい……ねぇ、クリス……これを何人の人に見せたの……?何人が舐めた?もっと早く出会ってたらなぁ、って思うよ……もう、誰にも触らせないけど……」
「……急に……なに……?あぁ……やっ……」
「……ねぇ……?ワンナイトの相手には舐めさせたの?」
ベッドの中でなんてことを聞いてくるんだ……というか、そこまで調べられてることに、また恐怖が湧いてくる。確かに舐められたのは初めてではない……けれど、その時の勢いとノリだけの付き合いをいちいち覚えてはいない。
うっすら覚えているのは髪はセミロングから少しロング気味の女性は耳に髪をかける仕草をしてた、というくらいで顔すら覚えていない。アルノルドみたいな金髪はいなかったし、アルノルドの髪では耳にかけるような感じでもない。前髪がギリギリかかるかかからないかの長さか?
「……なんか変なこと考えてるね?」
「……変なことをッ、聞いてきたやつに言われたくない……」
「あはは、ずいぶんと言えるようになったね。ところでさぁ、ここを女に使うつもりがまだあるの?男には使えないのは知ってるよ?僕に出会うまで男との経験は皆無だからね……いい男との出会いはしてたみたいだけど」
裏筋を舐め上げながらその下の嚢を揉みしだき、その手の中で転がすように弄ばれている。急所を握られているのも同然だ。そこも弄られ続ければ気持ちよくなることを叩き込んだ張本人が今度は口に含んでは出して遊ぶように一つ一つ丁寧に舌が這う。
「……っっ!!はぁ?いい男って誰のことだ……んッ」
「確か、ハーフの遊び人の美形の後輩くん?僕の一族並みに精力が強くて、男とも女とも寝てたらしいね。」
「おまえの一族のことは知らないけど、アイツは男には抱かれてた方だろ。性的な対象に見た事は1度もない」
「……だから、男を抱くことはない、ってわかるってことでしょ?でも、女はまだ抱けるの?ティティ・シア嬢がダメでほかの女は良かったのは何故?」
本人に問い詰められたような気分になってドキッとした。
あの時、まだ自分は子供で、性的なことに全く興味などなかった。他のことで……成績をトップでキープという追い詰められていた状態、というのもあったし、出会いの時に本人が対象外と言ったのだ。裏切られた、なんて簡単な言葉では収まりきらない複雑な気持ちになってた。
――今、アルノルドと出会ってなく、一緒の研究室で、もし彼女が生きていて、難問を解いた時に傍にいたら……?
それでも、ティティーとセックスに雪崩込むことは躊躇われるし、抱きたい相手ではない。同志であり上司であるティティーを抱きたいという気持ちにはならなかった。
いい女の部類に入るんだと思う。色気もあれば頭もいい。けれど、姉のような存在。それが一番しっくりきた。
「……はっ、あっ……あ、の人……ン……は……そういう……対象……んッ……じゃ、ない……あっ……」
「過去の女のことなんかどうでもいいけど……この先は許さないよ?キミは僕の宝物なんだから……」
ペニスを舐めたまま、ほどよく濡れた後孔周りと指が後孔に指を突き入れた。
「あっ……いやぁ……ァん~~……そこ、いやぁ……」
「……そんなに良さそうな表情をしてるのに?僕にすべてを晒して。もう我慢の限界だよ……」
快感に蕩けてなお、綺麗な顔は崩れないが、そこから溢れる色気にアテられてさらに深みにハマっていく。これまでに感じたことのない感情が自分の中から溢れて『愛おしい』なんて言葉では言い表せない。
自分以外に触れさせたくはない。だから、クリスより先に死ぬなんて絶対に出来ない。他の誰かがこの先、触れようものならその相手の人生をめちゃくちゃにしてやる。
――――僕だけの宝物なのだから……
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