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preparations 16

「あぁ……ヤッ……あ、あ、んっ、はぁ……も、ムリ……」 「綺麗だよ、クリス。でも、今日はお仕置きも兼ねてるからね。簡単にはイかさないよ?どうして僕の言いつけを守らないのかな?答えなきゃ、ずっとこのままだよ?」 すでに3本に増やされた指がぬちぬちと音を立てて出入し、その度に前立腺を擦られながら、内側から犯される刺激に啜り啼いていた。ペニスの根元を握られたまま、先端の窪みに舌をねじ込まれ、次から次へと溢れ出る愛腋を舐め掬うように粘膜同士が擦れあう。 「あ……あ……や……ん……も……イか……せて……」 何度も懇願してるにも関わらず、拘束を解いてはくれない。指がすっぽりと抜かれたと思ったら、いつの間に用意したのか、ペニスを縛るバンドで根元を押さえつけらた。 両手で両足を持ち上げられ、その肩にかけられた。薄く眸を開いて見上げると、アルノルドの凶器のような硬く反り返ったそれを、見せ付けるように軽く扱いて、また力を増していくモノを見てしまった。クリスが悲鳴のような声を上げる。 「ッ!!……無理……だからぁ……」 「それじゃ、質問の答えになってないな。ほら、早く理由を教えてごらん?」 そういいながら、ゆっくりとクリスに自身を埋めていく。 「はっ……やっ……あぁぁぁ……」 早急に挿入してるわけではないのに、仰け反り、首を振って限界を訴えている。柔らかい毛先がパサパサと小さな音を立てるが、そんな仕草が可愛くて、さらに腰を進める動きを緩める。 潤んだ眸がアメジストの色をより淡いものにし、キラキラと輝いている。 「……しゃ……写真……がぁ……あんっ……」 「写真?誰の?」 「……オレの……む、か、しぃ……の……」 「……で、その姿で会いたいって頼まれたってこと?」 まともな返事もすることが出来ず、コクコクと頷くことしかできなかった。 「……そんな言葉にホイホイと乗せられてあの姉妹とあんなところで会ってたってことか……本当に君には危機感って言葉を教えてあげなくてはならないようだね。 彼女たちの口がどれだけ堅いのかは知らないけど、ずいぶんと懐かれてたみたいだし?少なくても下品な格好をしてた方はキミの容姿が大好きだね。 ただでさえ、君は目立つ存在だということを自覚した方がいい……ねぇ、キミはいったい誰のものなの?」 「……うっ……あっ……あぁ……」 「僕はキミのものだよ?キミは僕だけのものじゃないの?僕はキミなしでは生きていけない。だからといってこの先誰かに触らせたくもない。そんなことがあったら、相手の人生をめちゃくちゃにする自信しかない。ずっとこうやって繋がっていたい。だから僕はキミより先に逝くことはない。でも、その先も一緒にいたい。だから見届けたらすぐに後を追う。キミを傷つけるものは全て排除する」 グッと腰を進められて、また濡れた声を上げる。内壁は繋がる喜びに捩るようにアルノルドを締め付けて蠢いていて離さない、と言わんばかりに吸い付いてきて喜んでいる。ゆっくりと時間をかけて全部を埋め込んだ時にはまた、お互いに汗でびしょ濡れになっていた。 「ほら、全部入ったよ……あれ?腰揺れてるけど?待ちくたびれた?」 「……時間……かけすぎ……なんだよ……汗、すごい、じゃんか……あのなぁ……言わせておけば、変な詮索してるけど、こんなこと許すのおまえだけだから。確かにヤケで遊んでた時期もあったけど、これでも、一途な方なんだよ……アルノルドがいるのに他に目が行くとか……どんな目で見られてんの?信用なさすぎない?」 息が上がっていても、言われっぱなしは性にあわない。 「……こんなセックス叩き込まれて、他なんかに目がいくわけないだろ……おまえ好みの躰にされてんじゃねぇのかよ……それともおまえ以上の絶倫が他にもいるのか?」 「……もし、いたとしても絶対に教えたくないし、譲れないね。言ってるでしょ?キミは僕のものだって」 「オレもおまえのものなんだろ?オレはここまで執着されたのも初めてだし、求められるのも初めてだ……それに、オレの居場所をくれた……オレを一人にしないって約束してくれた。ピアノを選ばせてくれた……ここで放り出されたら……オレは……今度こそ自分が許せなくなる……」 「許せなくなったらどうなるの……?」 「……どうなるんだろうな……オレにももう、見えない……息をすることすら嫌になるかもしれない……誰かを失うことに……もう疲れた……」 馴染むまで待っていた腰を激しく動かし、突き上げた。 「……やっ、急……あぁ!!」 「今、キミが感じてるのは生きてる証拠だ。僕はキミを手放さないし、キミの手を離さないと誓おう。もうひとつ約束が増えたね。僕はキミより永く生きる、だから僕の手を離さないとキミも誓って?」 「……離さ……ない……あぁ、はげ……しっ……」 「……生きてる……と、実感……出来るだろ……?」 アルノルドも感じている声で、自身を埋め込む時こそゆっくりだったのに、今日は最初から激しく突き上げて来た。 夏に躰を合わせて以来にしては容赦のない突き上げにクリスはついていくことが出来なくて呼吸も上手くいかない。 なのに口唇を合わせてくると呼吸すら奪われていく感じがした。息をするのもアルノルドの手の中なのか…… そのことにゾクゾクと背筋が痺れる感じがした。マゾっ気がある訳ではない。それがアルノルドとクリスの繋がっている絆のようなものだ。 この人に許される、ということが幸せなのだ。 それが夏の間にクリスの躰に刻まれた、自分を許される瞬間であり、自分が求めるものになった。

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