123 / 134
preparations 24
「……あっ、ん……約束が……違うぅ……」
着ていたパジャマはすでに床に下着ごと雑に投げ捨てられている。アルノルドも同様に、素早く脱ぎ捨て、早く理性を奪いたいのか、直接口でクリス自身を愛撫する。
先ほどのキスで蕩け、半ば形を変えつつあったそこは、あっという間に力強く反り返っている。
「キミは本当にどこもかしこも美しい。いい形になってきたよ?なにより、すべてにおいて覚えがいい。数ヶ月離れていても、僕の形を覚えてる。」
「……そう、させた……のは……アル……だろ……」
「そうだね、僕だね。僕以外が君の肌を触るなんてことは許さないよ。それをずっと教えただろう?僕なしではいられない躰にしたと思ってたんだけどね。思った以上に君はストイックみたいだ。僕の方が我慢させられっぱなしだよ……」
首筋から胸へキスを落としながら、クリスの弱いところを軽く噛み付くように愛撫し、その上をまた舌で擽る。感じすぎてしまうのか、クリスは身を捩りながら甘い息を吐く。
「……はぁ……あっ……んっ……」
「僕が傍にいない間、誰かに触れさせたりしてないだろうね?」
「……そ……んな……こと……ない……出来……なぁ……あぁ……」
「自分でしたりは?」
「……して……ない……」
「うん、確認した。昨夜の最初はすごく濃かったからね。僕を思い出して、一人でしてもいないのか、って思ったけど、一人でのやり方なんて教えてなかったもんね。もう、普通の自慰じゃ満足出来る躰じゃないもんね。すぐに僕のところに来てくれると思っていたからね。だから今は、僕が甘かったと実感したよ。でも、教えるつもりもないけどね。僕は、君をこのまま連れて行こうと思ってるよ。もちろん、スグにじゃない。君の言う区切りがついたらね。」
その間、何をするつもりなのかは告げはしないが、クリス自身、そんな余裕さえなくなっている。酔いも手伝って、しとどに陰茎を伝う蜜は、シーツを濡らしている。朝まで貪っていた蕾はまだ柔らかく、簡単に2本の指を飲み込んだ。内側から弱いところを攻めると悲鳴のような嬌声を上げて、先端から白濁を吹き上げた。
「……も……アル……熱い……アルゥ……アルを挿入れて……」
上がる息で、両手を伸ばし、アルノルドを求める姿に背筋がゾクリとする。潤んだ眸にどちらから溢れたのかわからない、キスの最中に唇の端から流れ落ちた唾液、細められた眸には、はっきりと欲の色が浮かんでいて、アルノルドに抱かれることを期待している。
すでに理性は欠片も残っていない、無防備な姿だ。腹から胸に飛び散ったクリスの精液を舐め取りながら、ゆっくりとクリスの足を肩にかけて近づいてくる。その間にも、アルノルドは自身にローションを塗りこみ、数回扱いて依り自身を力強くさせて、指で広げた蕾へと押し当てる。
クリスはピクリと身体を震わせて、下肢の力を抜いた。アルノルドの舌がクリスの喉元にたどり着く頃には、半分はクリスと繋がっていた。
「……も……と……深く……欲しい……」
焦らされてる気がしてならないクリスが、珍しくアルノルドを要求してくる。その姿にさえアルノルドは興奮を抑えきれず、残りを一気に捻じ込んだ。
「んあぁぁぁぁーーーーー」
その弾みで、クリスがビクッビクッと躰を震わせて吐精する。同時に締め付けられるアルノルド自身に内壁がうねりながら心地よく締め付けてくる。その心地よさに「ふっ」と小さな息を漏らすが、そこで引きずり込まれるアルノルドではない。
そのままゆっくりと馴染ませるように、ゆったりと腰を揺するだけで、大きな刺激を与えずとも、内壁が新たな快楽を求めてアルノルドを愉しませてくれている。クリスの熱を冷めさせないように、胸の尖りにも舌を這わす。反対側も指で愛撫しながら、弱い脇腹とそこを行ったりきたりさせながら、撫でたり、摘み上げては刺激を与えることを忘れない。
「はぁっ、ん、やっ、……あぁんっ……ふぅ……ん……」
ゆっくりと腰を揺すり、心を置き去りにしないように、徐々にクリス躰を追い上げていく。縋るものを求めてクリスの腕がアルノルドの背に回される。
仰け反る首筋から耳にかけて舌でなぞる。ピンと自己主張をしている胸の尖りを抓ったり、潰すように押したり、柔らかく撫で、緩急をつけて愛撫を繰り返しながら、突き上げるスピードを上げていく。完全に快楽に溺れているクリスの眸は薄く開かれているが、何も映してはいない。ただ、大粒の雫を浮かべて快楽に身を委ねている。
その表情は酷く扇情的で、アルノルドを強く煽る。セックスは人を無防備にさせる行為だ。特に受身であるクリス側は特にそうだ。こんな状態で命を狙われたら、間違いなく殺されるだろう。
たとえ、今、この瞬間であれば、アルノルドが守れる状態であるなら、絶対に殺されるようなヘマはしない。愛する人とセックスをしていても、それだけの余裕がある自分の冷静な部分が頼もしいような、寂しいような複雑な気持ちになる。けれど、今、自分の腕の中で乱れている愛しい人を胸に刻み込むことは決して忘れない。
“いつ、誰に命を狙われるか、わからない”
それが褥であっても、だ。セックスが仕事のような、妙な血筋の癖に、兄弟の誰もが、男であっても、女であっても、己を見失うようなセックスが出来ない。けれど、初めてクリスを抱いたその日だけは違った。見境なく、クリスの躰を貪った。
己の褥に初めて招いたからだろうか?即座に刺客が来ることはない、という驕 りだったのだろうか?この萩ノ宮家にいても、手前の部屋にはヴァルターが待機しているし、マキナもこの敷地内にはいる。セキュリティーもしっかりしているこの家の中で、一番危ないのは、マキナだろうが、クリスがいる場所で下手な真似はしないだろう。
「……やっ……も……イク……」
「うん。一緒にイこうか」
突き上げる腰の動きを早めていき、自らを昂ぶらせていく。
「あっ、あっ、あっ、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……」
薄く僅かな精液を自らの腹に飛ばし、クリスが同時にアルノルドを内壁をうねらせてキュッと締め付ける。その心地良さに酔いしれながら、自らの精を放つ。
クリスは躰の奥に熱い飛沫を感じながら、そのまま意識も手放した。
ともだちにシェアしよう!