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「王様の命令は絶対というのが、このゲームのルールですからねぇ。 では、早速、陽生さんと阿月さんにやって貰いましょう!」
と急の実況のように言い始めたのは、翼だ。 きっと今の回では、出番が無かったのだから勝手に実況みたいなのを始めたのであろう。
陽生が動揺している中、阿月は陽生を見上げ、なかなかして来ない陽生に焦ったさが募って来たのか頬を膨らませてまで陽生の事を見上げるのだ。
「ねぇ、陽生さん、早くしてよ……」
「え? あ、そうだったねぇ……もう、してもいいのかな?」
そう本当に陽生はヘタレ攻めで売っているからなのであろう。 なかなかして来ない焦ったさに周りも気持ち的にイライラしているようにも思える。
ヘタレの良さは、ネコに本当に優しく強くは攻めていかないっていう所であろうか。 だから今だってこうなかなか自分から進んでやろうとはしないのだから。
「もう! 陽生さんっ!」
そう阿月からしてみたら、もうイライラの限界が来てしまったのかもしれない。 ここで待っていたのではなかなか先に進む事が出来ないというのもあるのだが、阿月がビッチというだけあるのであろう。
阿月の方は妖艶な笑みを浮かばせると、陽生の首へと両手を回し、唇を重ねるのだ。 そしてゲイビ男優らしくそのまま舌を絡め部屋内に水音を響かせ、陽生の事を床へと転がらせる。 それでも尚舌を絡める音を響かせる阿月。
「ん、んん……」
と寧ろ先に声を上げたのは陽生の方だ。 まさか阿月にここまで押されるとは思ってなかったのかもしれない。
そして暫く経ってから阿月は陽生から離れる。
「どう? 深く長いキスって言ったら、これくらいやらないとねぇ」
とビッチな阿月の方は満足そうにそう言うのだ。
「ま、最初だし、これでいいんじゃないかな?」
そう言ったのは今は王様である創也。
「じゃ、次の命令な」
どうやら、そのままその組み合わせで事が進んで行くようだ。 周りのいる男優達というのは、まだ観戦状態だという事だろう。
「阿月の方は普段はビッチなんだろ? ならさ、ヘタレなコイツを動かすより、阿月の方が動いた方がいいんじゃねぇ? だったら、陽生のムスコさんをさ、勃たせたらいいんじゃねぇのか? 人間なんだから勃たせてしまったら、やっぱ、解放しないと満足出来ないもんだしさぁ」
にやりとする所から、やはり創也の方は狙ってやっているという事なのかもしれない。
「ふふ……創也さん、それで、いいんじゃないかな? ま、最初だしタチの人が動くんじゃなくて、僕みたいにビッチ役が動くっていうのもいいんだしね」
「ま、阿月が、それで、いいっていうんだったら、俺の方は全然構わないんだけどな」
「でも、創也さん……今日は創也さんが王様役なんですから、しっかりと僕達に命令していただかないとですからね」
阿月は創也に向かって人差し指を立てウインクまでするのだ。
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