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全身に広がる熱を感じて依弦が再び目を覚ますと、真っ暗でなにも見えなかった。否、布のようなもので目隠しをされていた。先ほどと同じ裸のまま、動かそうとした手足には金属の感触、両手は上に、両足は左右に開かされて立たされている……まるでXの字のように。手を少し動かせばジャラジャラとなることから、手錠と鎖だと気付いた。 「三崎……どこ……そこにいるの?」  さっきも結局は背後にいた。だから気配は分からないけど、今もいると信じている。 「三崎!!」 「……うるさいなぁ、もう」  力の限り依弦が叫ぶと、裕輔の声が聞こえると同時に露出していた乳首を(つね)られる。驚愕と痛みで声が出ないまま、依弦は鎖を鳴らしながら体を震わせた。 「無防備は相変わらずだな」 「……どういう、こと?」 「あんなとこ、呼び出されたからってノコノコ行くとかさ」 「三崎……?」  顔が見えないからか、自分の知っている裕輔の声に聞こえず依弦は戸惑った。  中学時代、裕輔は口数も少なく、目つきも悪く見られていた。まだ今ほど背も高くなく、周りに怖がられないためにずっと依弦の影に隠れていた。それを依弦は苦とも思っていなかったし、頼られて少し嬉しいとさえ思っていた。それもあって裕輔は裕輔で、高校も大学も依弦と同じだと思っていたし、ずっと一緒にいて貰えると信じて疑わなかった。 「僕は、ずっと依弦が好きだった。この顔のせいで周りに距離を取られても、お前は僕から離れなかった。覚えてるか? 依弦は『ずっと守ってやるからな』って言ってたんだ。僕はそれを信じて、高校も大学も就職先も一緒になりたかったのに、依弦は高校の合格発表前にいなくなってて、親にも先生にも依弦がどこへ行ったか知らされなかった」  耳に届く裕輔の声は悲痛に喘いでいて、依弦の胸を刺す。その胸に、裕輔の指が這う。 「毎日毎日、依弦のことばっかり考えて、オナニーしてたんだ」 「っ、」 「もし依弦と一緒になれたら、どんな風に触ったら喜んでくれるかな、とか、僕の大きいこれを奥まで入れたらどんな風に可愛いエロい声を聞かせてくれるのかな、とか、そんなことばっかり、ずっと」 「三崎……おかしいよ、お前……普通ない」  ようやく依弦が絞り出した声に、裕輔は鼻で笑った。 「何が? 好きな相手のこと考えるのは普通だろ?」 「でもそれはっ!」 「……周りから散々平凡だって言われてたお前が、どうして陽キャなパリピと友人になれたと思う?」 「え……?」 「どうして普段ほとんどお酒も飲まないし女ウケどころか平凡すぎて存在感の薄いお前が、合コンばっかりやる飲みサーに誘われたと思う? 誘われて呼び出されたのに居酒屋で一人にされていたと思う? 男女で同じ数を揃えたはずの合コンで、先輩が女の子二人を取っちゃったのは、なんでだろうな?」  次々と耳元で問うてくる裕輔に、依弦は段々血の気が引いていく感覚に陥った。  まさか。  まさか、全部、仕組まれていた? 「あの店で会ったの、本当に偶然だったと思う?」 「んんっ」  顎を捉えられ、口付けられる。首を振って逃げようとしたが、後頭部をしっかり押さえられて叶わなかった。無理やり唇をこじ開けられ、舌を入れられる。 「ん……ふ、はぁ……っ」 「トイレから戻ってすぐ眠くなったの、おかしいと思わなかったか?」 「あぁん、っあ、それって……!」 「もう、逃がさない。やっと、お前のエロい声が聞ける……」  臀部に裕輔の指が添えられた。両手で割り開かれて、ほとんど濡れていないその指を依弦のナカへと埋める。 「い゛っ!!」 「あんだけ乱れて後ろ濡れてないのか」 「あたり、まえ……! 女の子、じゃ、ないんだから……ばかだろ、」 「馬鹿は心外だな」  一度指を抜き、依弦の先走りを掬って濡らし、再度後孔に侵入する。一本、二本、三本と押し込んで、内壁をグリグリ(えぐ)るように刺激した。 「みさっ、三崎ぃ、やめ……っ」  痛みなのか快楽なのか、もはや依弦には分からない。分かるのは、裕輔が何かに怒ってるらしいことだけ。腸を圧迫される苦しさも、身動ぎする度に手錠が擦れる手首の痛みも、分からなくなるくらい頭が真っ白になった。

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