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2章 4-1
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正哉はラブホテルというものがあまり好きではない。何故ならどこの部屋も大抵は煙草臭いから。それとアメニティをあまり安心して使えないから。
土曜日、午前2時。そんな正哉は新宿歌舞伎町のラブホテルにいた。そのホテルの1番安い部屋でフリータイムを取って、2人の男と共に。
正哉は広いベッドの上で四つん這いになり、背後から大柄な男に首を掴まれ、後孔を陰茎で突き上げられる。口ではもう1人の青年の陰茎をしゃぶり、時頼喘ぎ声が漏れた。
その部屋はやはり煙草臭いが、正哉は2人の男を相手にしていて最早それは気にならなくなっていた。後孔を強く突き上げられながら陰茎をしゃぶり、酸欠になりそうになることすら気持ち良く感じる。
青年の方がニコニコと笑いながら、自分にフェラチオする正哉の赤く染まった頬を撫でた。
「すっげ、アナルファックされながらなのにお兄さんホントにフェラ上手いね」
「ん、ぐっ……ふっ」
「はは、気持ちよさそうな顔」
正哉の顎を飲み込むことができなかった唾液が伝った。後ろ側にいる正哉より幾分か年上であろう大柄の男の手が彼の陰茎を掴み、彼の身体が跳ねる。
「ぅんんっ!」
「ケツだけでこっちもガチガチじゃん。真面目そうな顔してど変態だな」
男はそう言いながら更に強く正哉の奥を突いた。青年の方には上顎を先端で擦られ、両方からの快感に正哉の身体は敏感に反応する。
「んっ……うぅ……!」
更に青年の手が正哉の乳首に触る。指先でクルクルと弄られ、摘まれ、背筋がゾクゾクとする。
「んん、ふっ、んぅ」
「気持ち良い? お兄さんの乳首、ちょっと大きいよね」
「全身開発済みかよ」
笑い混じりにそう言った大柄の男が、先端で正哉の前立腺を突きながら臀部を掌で叩いた。その瞬間、正哉はビリビリとした強い快感が身体を駆け抜けるのを感じた。
「ふぁ、んんっ!」
陰茎を強く締め付けられ、大柄の男は驚いて1度動きを止めた。
「あ? すげぇ、メスイキしてる」
「わー、お兄さんドMじゃん」
2人の男が面白がっているのが正哉には遠く聞こえた。快感で思考が付いてこない。もっと、何もかも忘れるくらい気持ち良くなりたい。
正哉は自ら腰を揺らし、男が動くのを再開するように促した。すると大柄の男も腰を動かし始める。
「そんな、あんたの方から動かされたらイッちまうよ」
そう言って彼は苦笑した。
ドライオーガズムに達した正哉の中は、男の陰茎を強く締め付けている。もうあまり激しくは動けない。
青年の方が正哉にフェラチオを止めさせた。
「ごめん、俺先にイク」
彼はそう言いながら自分の陰茎を正哉の口から出し、少し手で擦って射精した。精液が正哉の顔に飛び散る。
「やっ」
「あ、ごめん顔射嫌だった?」
謝る彼を何も言わずに睨んだ正哉。嫌に決まっている。気分が冷めるようなことはして欲しくなかった。
しかし青年はまだ笑っている。
「お兄さんみたいな綺麗な顔してる人って、汚したくなるんだよね」
更に残液の付いた先端を頬に擦り付けられられ、流石に正哉は逃げたくなった。
しかし後ろから大柄な男に首を掴まれ後孔を使われている。顔を動かすことすらままならない。男は動きを少し速くしラストスパートをかけていた。
「俺もイクぞ」
「あっ、うぁ……!」
強く奥を突かれる快感と同時に、正哉は男が中で射精するのを感じた。
掴まれていた首が解放されると、男が陰茎を中から抜くより速く正哉は2人の間から退いた。
「……顔洗ってくる」
そう言ってベッドを降りようとした正哉の手首を青年が掴んだ。
「待って、そんなに嫌だった?」
「離して」
彼の手を振り払ってベッドを降りた正哉。青年も慌ててベッドを降りる。
「ごめんって。じゃあ一緒にシャワー浴びよ。ここのお風呂広いし」
「何言ってんの?」
すると大柄な男がコンドームを外しゴミ箱に捨てながら言う。
「なら俺、そろそろ戻るけど」
正哉と彼等は新宿2丁目のゲイバーで知り合い、そのまま3人でこのホテルに来た。大柄な男はバーに戻るつもりだったらしい。
青年が再び正哉の腕を掴む。
「リクさん戻るの? わかった。俺はこのお兄さんと朝までここにいるから」
正哉の意見など聞く気が無い青年。リクと呼ばれた大柄な男は、ベッドの端に積み重ねていた服を手に取る。
「ああ、またな」
「またねー。さあ、シャワー行こ」
「え、ちょ……」
青年に腕を絡まされてバスルームに引っ張られた正哉は、諦めて彼について行った。自分の荷物は洗面台の近くに置いてあるのでリクに持って行かれる危険はないだろう。
終電はとっくに終わり、どの道この青年と共に朝まで過ごすしかないのだ。多少の嫌なことは我慢しなければならない。
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