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4章 5-2
正哉はベッドの横にしゃがみ、彼を見上げた。
「祥哉さんはね、私に向かってくるやり方はかなり間違えてたと思うよ。君とヤっちゃってからずっと私、君が怖くて気持ち悪かった。でもね……」
祥哉の片手に正哉が自分の手を重ねる。
「あれくらい強引にぶつかってくる君がいたから私はちゃんとみんなと向き合おうと思えた。絵里奈とも、リョウ君とも、母さんとも……それに君とも」
「正哉さん……」
「私はちゃんとみんなと家族になりたいんだ。何が良い“家族”の形なのか私には全然分からないけれど、少なくとも今より話ができて、助け合える存在でありたい」
そう言った正哉の手を掴む祥哉。
「あなたのことも絵里奈さんのことも、たくさん傷つけたと思う。多分すぐに許されるようなことじゃない。それに僕はまだあなたに恋してしまってる。それでも……私はあなたの家族でいいのかな」
「勿論君の間違いは許してないし、私の恋人はリョウ君だけだ。でも兄弟だし、感謝もしてる。見捨てることはないよ」
「…………ありがとう」
祥哉の目から一筋の涙が零れた。シーツに涙がが落ちる。
それを見て正哉は驚いてベッドサイドにあったティッシュを差し出した。
「大丈夫?」
「マサさんの兄弟ってよく泣くな。あ、マサさんもか」
そう茶化すリョウに、正哉は苦笑した。
「普段は泣かないよ」
「まあマサさんの場合別の意味でよく鳴くけどな」
「君、空気読めないって言われない?」
「今はあえて読んでないだけ」
ティッシュを受け取った祥哉は目の前でそんなやり取りをされ、涙を拭きながら笑った。
「あはっ、リョウさんって面白いね」
「そりゃどうも。自分の兄貴がよく鳴くって言われて笑える心境はよくわかんねえけど」
「本当のことだし」
祥哉にそう言われ、リョウは正哉の方を見た。
「……マサさん、この人とヤった時もそんなに喘いでたのか?」
「ん、どうだったかな……」
なんとか言葉を濁そうとする正哉に、祥哉。
「僕に挿れられてイキまくって、おかしくなるって泣いてたよ」
「えっ、そうなのか? マサさん」
ショックを受けたらしいリョウが正哉の肩を掴む。彼から目を逸らす正哉。
「いや、うん……そうだったかも」
「そうなのか?! 俺のちんこと祥哉さんのちんこどっちの方がいいんだ?!」
「ちょ、リョウ君、ここ病院だから静かにして?」
先程から隣の患者の見舞いに来ている女性がチラチラとこちらを見ている。こんな会話を聞かせるわけにはいかない。
リョウも流石にそれは分かったのか、今度は小声で言う。
「……マサさん、俺のちんこと祥哉さんのちんこどっちがいいんだ?」
また同じことを聞いてきたリョウを鬱陶しげに見上げ、正哉も小声で返す。
「うるさいな。ちんちんだけなら祥哉さんだよ」
「えっ」
ストレートな正哉の返答にショックを受けて壁にもたれかかったリョウ。手で顔を覆って呻く。
「そんなぁ……マサさんが巨根好きだったなんて……」
その様子に祥哉が片眉を上げる。
「正哉さん、あの子大丈夫? 脳みそちんちんなの?」
「……そうかもね」
正哉は笑い混じりにそう言った。祥哉も笑いながら、ふと浮かんだ質問を口に出す。
「そういえばリョウさんって本名何?」
「ああ、そういえば知らないや」
正哉がそう言い、祥哉は唖然とした。恋人になったと言っていたのでお互いの本名くらいもう知っているとばかり思っていた。
自分の陰茎の大きさに落ち込んでいるリョウの頭を撫でながら正哉が問う。
「リョウ君、本名何ていうの? 私は戸田正哉っていうんだけど」
「……マサさんは更に俺を傷つける気か」
リョウにそう返され、正哉は首を傾げた。
「いや本名聞いてるだけだけど。そもそもちんちん以外は君の方が好きだし」
「ちんちん以外はって言うなよ。やっぱ傷つくわ」
「ごめんって。それで、名前何ていうの?」
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