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4章 6-1

6  カーテンを閉められた薄暗い部屋に水音とベッドが軋む音が響く。  整然とした正哉の部屋。正哉とリョウはバスタオルを敷いたベッドの上で幾度も唇を重ねる。  病院から帰ってきて2人でシャワーを浴び、ベッドに入ってから15分以上。2人ずっとキスを繰り返し続けていた。2人の唾液は混ざり合い、そこから熱が溶け合う。  リョウの下にある熱を帯びた正哉の身体。既に陰茎は完全に勃起し、乳首も立っている。  「……ねえ、いつまでキスしてるの?」  リョウが唇を離した瞬間、正哉はついにそう言った。リョウは彼の左手に自分の右手を重ねる。  「ああ、ごめん。なんか楽しくなっちゃって」  「キスが?」  「そう。キスしてるだけでマサさんがどんどんエロくなってくなぁって」  そう言われて正哉は微笑し、右手で彼の頬に触れた。  「そう。何でかわかる?」  「何で?」  「君がエロいからだよ」  正哉の言葉に目を丸くしたリョウ。  「お、俺がエロい?」  タチをやりたがる男はこういうところが不思議だと正哉は思う。自身が男に欲情されないと思っているのだろうか。リョウの頬に触れていた手を彼の濡れた唇へ動かし、ゆっくりと身体の方へ下ろしていく。  「うん。君のその目も唇も舌も……この身体も全部エロい」  胸元を撫でる正哉の手をリョウが慌て掴んで止める。  「何かそう言われると恥ずかしいんだけど」  「そうかい? 早く責任持って身体に触って欲しいな。君のせいで勃起してるんだ」  「俺のせいかよ……」  苦笑して指先で正哉の乳首に触れたリョウ。既に固くなった突起を摘むと、正哉は小さく声を漏らす。そこの感度がこんなに高い人間を彼の他に見たことがない。  「マサさんの乳首って誰に開発してもらったんだ?」  「……っ、何でそんなこと聞くんだい?」  「祥哉さんのと全然違うから気になって」  正哉の乳首はシャツを着ていても時々透けて見えてしまうくらい大きくて色鮮やかだが、祥哉のそれはほとんど主張が無かった。他の部分はそっくりなだけにその違いは目立つ。  祥哉と比べられたのが嫌なのか、眉を眉間に寄せながら正哉は言う。  「白城さんだよ。あの人たくさん玩具持ってて、私の身体を開発したのは全部あの人」  「へー、色々と白城さんには感謝しなきゃな」  そう言って正哉の乳首に吸い付いたリョウ。片方は吸いながら舌で先端をくすぐり、もう片方は指先で刺激する。自分の身体の下で彼の陰茎が反応しているのがわかった。  正哉がリョウの明るい茶髪を手で撫でる。  「そんなこと……、言わないでよ。んっ……白城さんがしたこと、本当は許しちゃいけないんだ」  正哉がそう言うので、リョウは乳首から口を離して彼を見る。確かに白城は犯罪者だった。しかし正哉は彼を好きで、だからリョウのことも特別視していたのではないのか。  「俺達が出会えて、こうして恋人になれたのって白城さんのお陰だろ?」  「そうだけど、それは結果論だから」  正哉の手がリョウの髪から頬に移動する。琥珀色の双眸が愛おしげ細められた。  「それに多分、白城さんがいなくても私は君を好きになってた」  「マサさん……」  驚きに目を見開いたリョウ。正哉の唇を再び自分の唇で塞ぐ。深く口付け、彼の唇を舌で舐めながら離した。  「今のでイキそうだった」  リョウの言葉に吹き出した正哉。  「ははっ。挿れるまでイっちゃだめだよ」  そう言いながら正哉の手に勃起した陰茎を触られるリョウ。  「あっ、意地悪やめろよ。あんたに触られたらマジでイク」  「君はそんなに早漏じゃないって」  正哉の指先がリョウの亀頭冠を撫でて先端を擦ると、透明の液体が溢れ出た。リョウもそれに対抗するかのように正哉の陰茎を触る。  「今日はあんたのフェラしてやろうか?」  「え、ううん……それよりこっち、触って?」  リョウの片手を掴み、触れていた陰茎から後孔へとその手を導く正哉。大きく脚を開いて少し縦に割れた開口部が彼によく見える体勢になった。  「ずっと待ってたんだよ? ここに早くリョウ君が欲しい」  「そんなに急かすなよ」  そう返しながらもリョウは嬉しそうだ。枕元に置かれたローションを手に取り、それを自分の手と正哉の後孔に垂らす。そして後孔の周辺や会陰、陰嚢を手で優しく揉んでいく。  更にリョウの口は再び正哉の乳首を吸い、その優しい刺激に正哉は小さく喘ぎ声を上げる。  リョウが乳首を咥えながら時頼自分の顔を上目遣いに見上げてくるたびに、正哉は背筋がゾクゾクするのを感じた。  「んぁ、あ……乳首、もっと……噛んでみて?」  そう強請られたリョウは驚きながらも吸っていた彼の乳首を甘噛みした。すると彼は僅かな痛みの後の快感に身体を仰け反らせる。  「あっ! ん、イイ……もっとして、お尻も早く指入れてっ……」  「欲しがりだな、全く」  呟くようにそう言い、リョウは開口部に指を挿し込む。周囲をマッサージされていたそこは驚くほど簡単に2本の指を飲み込み、待っていたかのようにそれを締め付けた。  リョウの指先に前立腺を優しく擦られながら乳首を甘噛みされる正哉。その刺激に快感が腰から背筋、首の後ろまで走り抜ける。  「んっ……気持ちいい、リョウ君、ああっ……」  今日はリョウの口数が多いと思っていたが、黙り始めたので正哉は彼が行為に集中してきたのだと感じた。彼の手つきはいつもより少し優しく思える。その手与える刺激は的確で、彼はどうすれば正哉の身体が悦ぶかよく知っている。  正哉は自分の胸元にあるリョウの頭を撫で、その手をそのまま彼の肩に、背中に滑らせた。体毛がほとんど生えていない彼の身体は触り心地が良い。  「あ、マサさん……だめ」  正哉の手がリョウの胸元へ移動しようとしたとき、彼は顔を上げた。手を止め、正哉は微笑む。  「触られるの怖い?」  「怖いわけじゃない」  「そう? 君って案外、敏感だよね」  正哉に指先で乳首を摘まれ、顔を顰めるリョウ。  「こら、やめろって」  そう言いながら彼の後孔に挿れていた指で強く前立腺を押すと、彼は乳首から手を離して身体は大きく反応した。  「ぅあっ!」  そのまま前立腺を強く擦られ、再び乳首もしゃぶられた正哉はピクピクと身体を痙攣させる。  「や、ああっ……ご、ごめっ……んあっ!」  「あんたやっぱ、ちょっと乱暴にされた方が反応良いよな」  リョウは片手で前立腺を弄りながらもう片方の手で正哉の尻を軽く叩く。すると正哉は更に嬌声を上げて尿道球腺液を溢れさせた。  数回、叩かれる度に痛いはずなのに正哉はそれを快感と錯覚していた。開口部の周辺もジンジンと熱いような感覚がして、リョウの指の関節がそこを出入りするのが気持ち良い。

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