10 / 13

第10話※

「咲夜くん……ちょっと苦しい、かな。も、もう少し力抜いて……優しくして……」 「や、優しく、って……オッサンが言う台詞かよ!」 「ごめん。気持ち悪かった?」 「そう……じゃ……ない、けど……。ん……どうすりゃ良いんだよ……俺……ど、童貞だから」 「あ、うん。そっか。最初は教えるから……その後は咲夜くんがしてね」 「……わかった……」  えらく素直だ。プライドをかなぐり捨てたと言うより、ただ純然たる性欲が咲夜を支配している。  彼も男だから……そう……ヒーローである前に……。  未知の感覚を味わってみたくて、うずうずしている。だから任せてくれる。この咲夜にいろいろと性の知識を教え込んだら、いったいどうなってしまうのだろう。  今度は佐古から、彼の頬に片手を添え、初めはフェザータッチでキスをした。咲夜のようにどうしても手に入れたい、自分のものにしたいというような獣じみたものではなく。  唇を重ね合って、何度もついばんで、お互いに瞳が甘ったるくなったら、舌を入れてみる。  それも、いきなり絡め合う訳ではなくて、ゆっくり時間をかけて舐めて、もう限界というところまできてようやく咲夜も佐古の舌を追ってくる。恋人同士の、深い深い濃厚な口付け。  ──というか、告白もしたし、両想いだってわかったし、これからは恋人同士という扱いで良いんだよね。 「ぷふぁッ……はぁっ……。なんだこれ……ヤッバ……。本物のキスって、こんなにっ……」 「人の暖かみって良いでしょ」 「……佐古さんがうますぎると思う。ヤリチンめ」 「いや、僕は全然、人並み……」 「俺は年齢イコール経験じゃねぇから! そしたら……こ、こっちも……それなりに……?」  咲夜が視線を落とす。佐古からのキスで、見事に膨張した咲夜のペニスは、既に我慢汁を滲ませている。 「うーん……まあ……一応」  互いに手コキ、つまり兜合わせをしようと提案したしたは良いが、咲夜にいきなりできるとは思えない。 「えと……じゃあ、僕が扱くから。咲夜くんはさっきみたいなキスして……盛り上げてくれるかな。二人とも、上も下も気持ち良くなれるように……」 「う……。さ、さっきみたいなの……だな? やってみる……」  そうして咲夜は言われた通り、今度は自分任せのそれではなく、佐古の頬に手を添えるところから真似して、唇を合わせていった。  もっとも、咲夜がそれをやると、まるで眠り姫を起こす王子様のような、品すらある所作だったが。  佐古も咲夜の勃起を己のものと擦り合わせ、両手を使って扱いていく。 「ん、んッ! く……」 「あ、いきなり刺激、強すぎた?」 「ちがっ……俺も……その……驚いた、だけ……。ぐ、はぁっ……はぁ……」  そうは言うけれど、顔を離した時に漏れる声が悩ましい。感じてくれている……咲夜が自身の手で。  咲夜のキスは格段に上手くなっていて、とても心地良かった。だから、手コキも激しくはしない。徐々に、徐々に、お互いの鈴口から溢れ出るカウパーを塗り付けながら、竿を扱き上げたり、二人分の亀頭を手のひらで撫で回したりする。 「んっ! んふっ、んむぅっ、ンン〜〜ッ!!」  弱いところを弄られて、咲夜がくぐもった喘ぎ声を上げながら腰をビクビク跳ねさせる。最初の方よりも大きくなっている怒張が、そろそろ射精したいと脈打っている。 「はっ、はっ、ひッ……も、無理……出そうっ……佐古さんは……?」 「うん……僕も……一緒にイケるかな?」 「るせっ……どうにかイク、んだよっ……あ、あぁっ、すげ……扱かれるの……いいぃっ」 「キスしながらイこっか。咲夜くん、喘ぎ声とか聞かれるの嫌いそうだし」 「ふーッ、うぅぅ……わかってんじゃん……」  咲夜はニッと意地悪く笑ってまた佐古の口腔内を舐り始めた。

ともだちにシェアしよう!