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第11話※
咲夜が扱きやすいように大きく股を開いて、けれど渾身の力で抱き締めてきて。
身体が痛いし苦しくないと言えば嘘にはなるが、それだけ咲夜が感じている、絶頂を我慢していると思えば、さして問題ではなかった。
扱く手が早くなる。佐古ももうそろそろ限界だ。けれど、できるだけ咲夜と同じ頃合いで出してあげたい。
「っぷは、イクからね、咲夜くん、咲夜くんも出してっ、イク、イクイクイクッ!」
「んーーっ!! くふぅううううう〜〜〜〜ッ!!」
絶頂宣言だけ咲夜に伝えると、キスしたままお互いほとんど同じタイミングで射精していた。
溜め込んでいたのか咲夜の分の精液は白濁が濃く、量も多く、何なら飛距離もあって佐古の胸元の方まで飛んでしまった。射精の疲労感から佐古にもたれかかっている咲夜は、肩で息をしている。
「はぁ……すご、かった……咲夜くん、気持ち良かったよ……。って……大丈夫?」
一人でする行為と違って、想像以上だったのだろうか。息も絶え絶え、目は虚ろ。飲酒をしていた時よりも酷いのではという有様だ。
ひとまず佐古はティッシュで精子やら汗やらを拭き取って、服や体勢を楽にしてやり、ベッドに横にならせた。そうして少し休んでから、のろのろと咲夜が上半身だけ起き上がる。
開口一番。
「手加減しろクソオヤジ!!」
「は、はい?」
「だ、だって、マジで慣れてるっぽかったじゃねぇかよ……あんな……やらしいことに……」
あれでも相当な快楽だったらしいが、まだ前戯程度だ。
もしも、本番……となれば、咲夜の身体はずいぶん敏感すぎて、失神してしまうかもしれない。咲夜の為に、よりは佐古が責めてもらう為に肉体開発するのも醍醐味の一つではあるが。
「えっと……もう咲夜くんとしかエッチなことしないから……大丈……」
「当たり前だろ!! もし浮気して病気とか移したらただじゃ済まさねぇぞ!」
独占欲の強さに、今ばかりは微笑した。
悪態をつく咲夜も良いが、困ったように眉間に皺を寄せて照れている咲夜の表情は、自分にしか見せないもので。
初めて役を貰った時の感情以上かもしれない、くらいに幸運の巡り合わせに、胸がいっぱいになった。
「男同士がこんなに気持ち良いなら……つ、次は俺も……挿れたり挿れられたりしても、悪くないかも……そのうち……な」
「ほ、ほんとにっ!?」
「嫌ならいい」
「う、ううん! お互いイイコト、しよう」
「イイコトって……性犯罪目的の誘拐犯がガキに言う台詞かよ、やっぱ言動は気持ち悪ぃな!」
ぺしぺし両手の平で叩かれるが、力は入っていなくてそれこそ子供みたいだ。
「やめて〜」とこちらも下手くそな雑魚キャラを演じ、素人バイトのヒーローショー以下の茶番が繰り広げられた。
交代でシャワーを浴びた咲夜は、綿百パーセントの青のメンズパジャマ姿だ。それでも何故か絵になるのは、モデル上がりだからか。
佐古はそろそろ帰ろうとはしたのだが、咲夜の「構ってちゃん」によって奇しくも一泊することなった。
しかも、佐古に与えられたのはシャイニングの大人向け、つまりはたかが洋服されど洋服と言う名のマニア向けグッズ。ブランド服を買えそうなくらい結構な値段がしたような……上下半袖のもの。しかも凝っていて暗闇で光る。
「これシャイニングじゃなくてスイセイヤーグッズなんだけど……」
「そりゃあんたは、シャイニングじゃねぇからな」
「だからって悪役のグッズも買う?」
「シャイニング関係のものは貯金叩いても全部買う」
その時の凄みには、佐古も口を出せなかった。俳優デビュー作とはいえ、佐古以上に咲夜のシャイニング愛と執着が強すぎる。
狭いベッドにごろんと二人で寝そべる。電気を消すと、案の定佐古のTシャツのロゴとイラスト部分がまるで小さなプラネタリウムのように光っていた。
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